「音を消したら、今度はこの子が騒ぎますよ」満席の機内でアニメを大音量で流す母親。だが、客室乗務員がとった対応
機内で聞こえてきたアニメの大きな音
夏の連休、ひとりで飛行機に乗ったときのことです。
景色を見るのが好きな私は、3か月前から窓側の席を予約していました。ただ、その日は体調があまりよくなく、座席の横の壁にもたれて過ごしていました。
機内は満席です。通路をはさんだ斜め前には、5歳くらいの子どもと母親が隣同士に座っていました。
離陸してしばらくすると、その親子の席から大きな音楽が聞こえてきました。
母親が子どもの前にタブレットを置き、アニメを流していたのです。
イヤホンは使っておらず、登場人物の声まではっきり聞こえてきます。
最初は少しの間だけだろうと思っていました。しかし、音量が下がる気配はありません。
体調が悪かったこともあり、私はだんだんつらくなってきました。
周囲にも困ったような表情を浮かべる乗客がいましたが、誰も声をかけられずにいました。
客室乗務員のお願いに、母親が反論
しばらくすると、通路を歩いてきた客室乗務員が親子の席で足を止めました。
「恐れ入ります。動画の音を少し小さくしていただけますか?」
すると母親は、不満そうに顔を上げました。
「えっ、でも、これを見せてないと子どもが騒ぐんです」
客室乗務員は穏やかに答えました。
「そうですよね。ただ、周りのお客様にも音が聞こえてしまっているので……」
母親は困ったようにタブレットを見つめ、少し強い口調で言いました。
「じゃあ、どうしたらいいんですか?音を消したら、今度はこの子が騒ぎますよ」
たしかに、子どもを静かに過ごさせたい気持ちは分かります。
ですが、だからといって周囲の乗客が大きな音を我慢するのも違う気がしました。
客室乗務員は母親と言い争うことなく、落ち着いた声で続けました。
「少々お待ちくださいね」
そう言っていったん席を離れ、しばらくして子ども用のイヤホンを持って戻ってきました。
「こちらを使ってみませんか?動画もそのまま楽しんでいただけますよ」
子どもはイヤホンを受け取ると、うれしそうに耳にはめました。
「ママ、ちゃんと聞こえるよ!」
それまで機内に響いていたアニメの音が、ぴたりと聞こえなくなりました。
母親は少し気まずそうな表情をしていましたが、それ以上は何も言いませんでした。
私はほっとして、窓の外に目を向けました。
子どもを退屈させたくないという母親の気持ちは理解できます。それでも、周囲への配慮は必要です。
相手を責めるのではなく、親子も周囲の乗客も困らない方法を示した客室乗務員の対応が、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














