「あんた、借りた10万は?」キャンプ道具を自慢する従兄弟。だが、法事の席で母親から突然問われ、笑顔が消えた瞬間
返済を先延ばしにする従兄弟
母方の従兄弟は、私にとって兄弟のような存在でした。
2年ほど前、久しぶりに電話がかかってきたときも、まさかお金の話だとは思っていませんでした。
「生活費が足りなくて、給料日までもたないんだ。来月には絶対返すから、10万円貸してもらえないかな」
困りきった声を聞き、私は10万円を振り込みました。
昔から親しくしてきた相手です。約束を疑ってはいませんでした。
ところが、翌月になっても返済はなく、連絡もありません。
こちらから電話すると、従兄弟はあっさり答えました。
「ごめん。今月はいろいろあってさ。もうひと月待ってくれない?」
仕方がないと思って待ちましたが、その翌月も同じでした。
理由を変えながら、返済は先延ばしになっていきました。
その一方で、親戚からは従兄弟が新しいキャンプ道具を買ったとか、高そうな店で食事をしていたとか、そんな話が聞こえてきます。
生活費に困っていたはずなのに、と複雑な気持ちになりました。
ある晩、居酒屋のカウンターで従兄弟と隣り合ったとき、私は思い切って切り出しました。
「悪いけど、あの10万円、そろそろ返してもらえない?」
すると従兄弟は笑いながら、手をひらひらと振りました。
「親戚同士なんだからさ。そんなに急かさなくてもいいだろ」
「いや、こっちだって困ってるんだよ」
「返さないとは言ってないって。もう少し待ってよ」
それ以上は言えませんでした。親戚付き合いまで気まずくしたくなかったのです。この件を相談したのは、母だけでした。
座卓の向こうで黙りこんだ従兄弟
それからしばらくして、親戚の法事がありました。法要が終わると、親戚の家で座卓を囲んで食事をすることに。
私は母の隣、向かい側には従兄弟と、その母親である叔母が座っていました。
酒が回ったころ、従兄弟が新しく買ったキャンプ道具の話を始めました。
「やっぱりいい道具は違うね。ちょっと奮発したけど、買ってよかったよ」
私は黙って聞いていました。まだ10万円を返してもらっていないのに、楽しそうに話す姿を見て、どうしても笑えなかったのです。
隣で母が小さく息をのみました。すると叔母が箸を置き、従兄弟のほうを向きました。
「あんた、借りた10万は?」
従兄弟の笑顔が消えました。何か言おうと口を開きましたが、言葉が出てきません。
私が借金のことを話したのは母だけです。
母から叔母にも事情が伝わっていたのだと、そのとき分かりました。
周りの親戚も従兄弟を見ていました。先ほどまで相づちを打っていた年配の親戚も、黙っています。
叔母はかばんから白い封筒を取り出し、私の前に置きました。
「ごめんなさいね。この子の代わりに、私が返すから」
そして、従兄弟に向かって言いました。
「あんたは私に返しなさい。いいね」
「……すみませんでした」
従兄弟はうつむいたまま、小さな声で答えました。
私は封筒を受け取り、叔母に頭を下げました。隣では、母が静かにうなずいていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














