「将来のためってそういうことね」娘のお年玉で塾代を払っていた私。通帳を見せた瞬間、思い出した母の言葉
娘から突然聞かれた、お年玉の通帳
冬のある夜、夕食を終えた私は、居間のソファでお茶を飲みながらテレビを見ていました。
そこへ中学生の娘がやって来て、突然こんなことを聞いたのです。
「ねえ、お母さん。私のお年玉の通帳ってどこにあるの?」
「引き出しにしまってあるけど…どうしたの?」
「今、いくらたまってるのか見てみたいなと思って」
その言葉を聞いた瞬間、私は内心焦りました。
実は、娘の塾の費用を、お年玉をためていた娘名義の口座から引き落としていたのです。
娘のために使うお金なのだから問題ない。
そう考えて手続きしたのですが、いざ通帳を見せるとなると、急に気まずくなりました。
通帳を取りに引き出しへ向かいながら、私は高校生のころの出来事を思い出しました。
小学生のころから、母に言われてお年玉のほとんどを貯金していた私。
高校生になり、アルバイトの給料の振込先に使おうと思って、休日の昼に母から通帳を受け取ったことがありました。
ところが、開いてみると、ためていたはずのお金がほとんど残っていなかったのです。
「ちょっと待って!なんでこんなに減ってるの?勝手に使ったの?」
驚いて母に聞くと、返ってきたのは思いもよらない言葉でした。
「将来のためってそういうことよ。あなたの塾の費用に使ったんだから」
母は平然とお茶を飲んでいましたが、私はとても納得できませんでした。
「それなら先に言ってよ!」
その日は腹が立って、夕食のときも母と目を合わせなかったほどです。
自分が親になったら、子どものお年玉には絶対に手をつけない。
あのとき、確かにそう決めたはずでした。
娘に返された、忘れられない一言
通帳を手に居間へ戻り、娘の前で開いて見せました。
娘は記帳された履歴を眺めていましたが、同じ名目の引き落としが何度もあることに気づき、指を止めました。
「ねえ、お母さん。これ、何のお金?」
「ああ、それは…あなたの塾の費用よ」
私は少し言葉に詰まりながら、続けました。
「ほら、将来のためなんだから。いいでしょう?」
言い終えた瞬間、はっとしました。
昔、母に言われたのと、ほとんど同じ言い訳をしていたのです。
すると娘は腕を組み、にやりと笑いました。
「将来のためってそういうことね」
「えっ……」
私は何も言い返せませんでした。
かつて母に腹を立てた自分が、今度は娘に同じ説明をしているのです。
黙り込んだ私を見て、娘はさらに楽しそうな顔をしました。
「これ、おばあちゃんに言っちゃおうかな」
「えっ、それだけはやめて!」
思わず声が大きくなりました。娘は笑っていましたが、私は恥ずかしくてたまりませんでした。
その夜、娘が部屋に戻ったあと、結局は私のほうから母に電話をかけました。
「ねえ、ちょっと聞いてよ。今日、娘にお年玉の通帳を見せてって言われたの」
事情を話すと、母は大きな声で笑い出しました。
「あらまあ!同じことしてるじゃない!」
「もう、笑いごとじゃないのよ。あの子、腕まで組んで私に言い返してきたんだから!」
「あなたなんて、私と口もきいてくれなかったじゃない」
そう返されると、私も思わず吹き出してしまいました。
電話の向こうとこちらで、しばらく笑い続けた私たち。
ただ、娘に通帳を見せるとき、どうしてあんなに気まずかったのか。その理由は自分でもよくわかっていました。
母に怒っていた高校生の私と、今の娘。立場が変わって初めて、あのころの出来事を別の角度から思い返した夜でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














