ラニス・ヤーザブさんは、世界最大の人財サービス会社、アデコグループの子会社である人財サービス会社「Spring Professional Japan」代表取締役社長でありながら、５歳の息子を育てるシングルマザー。会社の代表として多忙を極めるなか、息子さんとの関係も大切に築いていく、その極意を伺ってきました。
息子を大人として扱い、自立した関係を築くのが私なりの子育て論
「一日のタイムスケジュールは、息子を８時にスクールに送り、私は９時から18時まで仕事。スクールのお迎えや食事などはベビーシッターにお願いしています。息子は20時には寝るので、それまでに帰れた日は一緒にお風呂に入ったり、本を読んで過ごしていますね。平日ゆっくり過ごせない分、週末は前もって予定を立てて出かけたりすることが多いかな。仕事と育児を両立するうえで楽しい時間は、その日にあったことをお互い報告し合っている時ですね。息子は通っているスクールで今日あったことを話し、私はその日会社で起こったことを話したりします。“今日、ママはこんなことがあってすごく大変だった”とか。もちろん５歳児にも分かるように簡単な言い回しにはしますが、仕事というものを早い時期から身近に感じさせることで彼が社会に出た時に役立てばいいな、と考えています。今は来年の予算を決めている時期なので、時にはお金の話もしたりしますよ（笑）。もちろん両立には大変なこともたくさん。仕事がどんなに忙しくても息子のことには気を配らなくてはいけないし、息子と過ごしている時間は仕事を持ち込まないよう、頭を切り替えるように心がけています」。
仕事をすることは選択肢のひとつ
あとで後悔しては遅いことも
「私は、息子のことはすべて理解していますが、息子にも私を理解してほしいと思っています。子供はすぐに大きくなります。大きくなると彼も自分の世界を持ち、親からも自立していきます。少しずつ親から離れて行った時、私は“子供と同じように私も成長していたい”と思うんです。その成長を助けてくれるのが私にとっては“仕事”です。日本のお母さんに言いたいのは“働くことも選択肢のひとつ”だということ。出産を機に一度職場を離れると復帰するのが難しいと思われている人も多いと思いますが、自分を過小評価せずにどんどん自分をアピールすれば、出産前のようなキャリアは必ず築けると思います。私の会社では女性の雇用にも力を入れています。子供がいる女性でも正社員として就職できるようクライアント企業に働きかけつつ、働きたい女性の側にはどうやって自己アピールするとよいか、子供がいるからという理由で萎縮せずプレゼンテーションできるようアドバイスをすることもあります。
日本人女性は「女性はこうあらねばならない」という固定観念が強いように思います。仕事が忙しければベビーシッターにお願いするとか、よりよい職場環境を求めて転職をするとか、今の会社で自分が管理職になってもっと働きやすいシステムに変えていくとか、ビジョンを持ち、行動するともっと自由な子育てができると思いますよ。
Lanis Yarzab（ラニス・ヤーザブ）さん
2014年5月より、アジア８カ国で展開しているIT・エンジニアリング分野に特化した人財紹介会社「Spring Professional Japan株式会社」代表取締役社長に就任。日本在住歴14年。一児の母。