tend Editorial Team

2012.05.28(Mon)

老舗のワッフルでスローライフ「ヴァン・ヘック・ワッフルハウス」

ファッションショップが多いナショナルストラート沿いにひっそりと建つ。

ファッションショップが多いナショナルストラート沿いにひっそりと建つ。

ファッショナブルなショップが軒を連ねるアントワープのナショナルストラートを少し歩くと、ノスタルジックな雰囲気のヴァン・ヘック・ワッフルハウスがあります。1905年創業の老舗ワッフル屋で、スタンド販売からスタート。昔はこのエリアにはパブが多く、飲みに来た人たちが小腹をすかせたときスナックとしてワッフルを食べていたそう。後に店舗が建ち、1940年代にはヴァン・ヘックの娘夫婦が店を引き継ぎ、現在ではオーナー兼シェフのズルツァ・ミトロヴィッチさんが経営しています。

(左)お昼前から少しずつ混み出す店内。ほとんどが常連客。/(右)昔ながらのワッフル機のレプリカ。

(左)お昼前から少しずつ混み出す店内。ほとんどが常連客。/(右)昔ながらのワッフル機のレプリカ。

「この人は毎日来るでしょ。この人は月曜日以外毎日。この人は毎週土曜日に必ず来るわ」と一人ひとりの客の肩をたたいて挨拶をするズルツァさん。ほとんどの客が常連さんで、中にはなんと40年も通っているおばあさんもいました。ズルツァさんがこの店で働き始めて7年、慣れない初めの頃は長年の常連客がつくり方の秘訣を伝授してくれたそう。

地元客に支えられるヴァン・ヘックは、オーナーが変わってもつくり方は変わらず、また店の名前とインテリアも昔のままで、まるでここだけ時が止まったような空間。60年代風のアットホームな雰囲気で、壁にはワッフルをつくる鉄のアイロンのレプリカや昔の写真がかかっています。

ズルツァさんは旧ユーゴスラビア生まれの移民。何も持たずにベルギーにやって来たという彼女は、料理学校にも通わず、ワッフルづくりの全てを、目で見、舌で味わい、がむしゃらに覚えたといいます。そんな彼女は自信を持って、「私のワッフルほど美味しいものは、アントワープ中探しても無いわよ」と言うのです。その秘密は?とズバリ聞いてみると、なんといっても100年以上引き継がれた鉄のアイロンと、必死で覚えたつくり方の「感覚」だそう。

ワッフルだけではなく食事のメニューも全てこの小さなキッチンでつくる。

ワッフルだけではなく食事のメニューも全てこの小さなキッチンでつくる。

他の多くのワッフル店が電気式のアイロンを使っているのに対し、ヴァン・ヘックでは温度計もタイマーもついていない、昔ながらの鉄アイロンを使っています。一日中絶えずガスで熱され、 黒く重い鉄のアイロンを片手に取り、においやフィーリングを頼りに温度を量ります。生地をかきまわす力加減から、ワッフルをひっくり返すタイミングまで、レシピに頼らず感覚で判断することが一番むずかしい、とズルツァさん。時間が経つとふわふわと盛り上がっていた生地も水のようにさらさらになってしまうため、つくり置きもしない。少しでも形が気に入らなければ、またつくり直す。朝7時から下準備をはじめ、混む時間になる前に再度1人食料庫や冷蔵庫となっている地下へ行き下準備をこなす。生地をかきまぜすぎてコチコチに硬くなってしまった右腕は、たまに注射を打ってほぐさなければならないほどだそう。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2025.12.15(Mon)

「これ、賞味期限切れてるぞ」コンビニで怒鳴る客。しかし、店員の告げた事実に恥をかいたワケ【短編小説】
tend Editorial Team

NEW 2025.12.15(Mon)

「熱が出たので休みます」部下からの欠勤LINE。添付された写真を見て、嘘がバレたワケ【短編小説】
tend Editorial Team

NEW 2025.12.15(Mon)

ニッチェ、『THE W』優勝、粗品の辛口審査に「感謝しかない」と意外な反応→「愛ある駄目出し」「大成功の大会だった」と称...
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.09(Thu)

小泉純一郎元首相、息子・進次郎氏の総裁就任は時期尚早と考えを明かす。SNSでは「政治家としての資質が問われている」と厳し...
tend Editorial Team

2025.09.09(Tue)

吉村知事の注意喚起『道頓堀川に人形を投げないで下さい』に「アカン、大阪でそれは振りになってしまいます」とツッコミの声!
tend Editorial Team

2025.08.21(Thu)

「宿題終わった?」まさに夏休み終盤の学生…!ホワイトボードの猫のイラストが体現する、宿題が終わらない現実に注目集まる
tend Editorial Team