「おい、邪魔だ。どけよ」と電車で老人に暴言を吐く若者。だが、若者が落とした『教育実習生』の名札の文字を見て、空気が凍りつく
通勤電車の困った若者
通勤電車での出来事です。
毎朝の満員電車、ただでさえ疲れる時間帯ですが、その日は特に気分の悪い空気が流れていました。
駅に到着し、ドアが開いた瞬間です。
並んでいる人の列を無視して、肩をぶつけながら強引に車内へ割り込んでくる若者がいました。
彼は空いた席にドカッと座り込むと、隣に座っていたおじいさんに向かって、信じられない言葉を吐いたんです。
「おい、邪魔だ。どけよ」
舌打ち混じりのその一言に、周囲の空気が一瞬で凍りつきました。
(なんだこいつ…)
僕を含め、周りの乗客は皆、不快感と緊張で体を硬くしました。
関わりたくない、そんな空気が充満する中、言われたおじいさんは怒るわけでもなく、動じる様子もありません。
それどころか、おじいさんはゆっくりと若者の方を向き、穏やかな声でこう言ったんです。
「君、落とし物だよ」
予期せぬ言葉に、若者は不機嫌そうに眉をひそめました。
「あぁ?なんだよ」
「足元。大事なものじゃないのかね?」
若者の正体
おじいさんが指差した先を、若者はおざなりに見下ろしました。
僕もつられて視線をやると、そこには赤いストラップのついた名札が落ちています。
若者がそれを拾い上げ、文字が見えた瞬間でした。
彼の顔色が、さっと変わったのが分かりました。
そこには、大きく『教育実習生』の文字。
その瞬間、車内の空気がガラリと変わりました。
さっきまでの「怖い若者がいる」という恐怖心から、「これから先生になろうという人間が、こんな態度なのか?」という、冷ややかな軽蔑の視線へと一斉に変わったのです。
「……ッ!」
周囲の視線の意味を悟ったのでしょう。
若者は顔を名札と同じくらい真っ赤にして、いたたまれなくなったのか、次の駅で逃げるように電車を降りていきました。
ドアが閉まり、電車が走り出すと、おじいさんは何事もなかったかのように前を向いていました。
あの暴言に怒鳴り返すのではなく、ただ事実を突きつけることで自身の立場を気づかせたおじいさん。
「参ったな」とでも言うように苦笑いするその横顔に、車内全体から「お見事です」という静かな拍手が送られているような、そんな清々しい朝の出来事でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














