「もう二度と、私の人生に現れないで」と家族の連絡先を消した。理由は父の遺産で見えた家族の本性にあった
弁護士からの連絡、理由は父の遺産
スマホの画面に躍る「弁護士」の文字。
それを見ただけで心臓が跳ね、胃の底が冷たくなる感覚に襲われます。
2年前、父が亡くなってからというもの、私の日常はこの「相続」という言葉に支配され続けてきました。
「お世話になっております。例の書類、すべて整いました。本日発送します」
受話器から聞こえる事務的な声。
「……はい。わかりました」
「これで法的な手続きはすべて完了です。長い間、本当にお疲れ様でした」
私は逃げるように通話を切り、深く息を吐きました。
すべてが始まったのは父の葬儀の後でした。
仲の良かったはずの兄弟たちが、遺産を前にして別人のように豹変したのです。
「晩年、お父さんの介護をしていたのは私よ!その分、遺産が上乗せされて当然でしょ」
と姉が主張すれば、
「法律通りに均等に分けるのが筋だろ。ごちゃごちゃ言うなよ」
と兄が怒鳴り返す。
さらには、
「兄さんこそ、昔マンションを買ってもらう時に多額の援助を受けたじゃない!それも遺産の前渡しとして計算すべきよ」
と、過去のお金のやり取りまで掘り起こされる始末。
「介護の対価」と「過去の援助」。
互いの主張は平行線をたどり、話し合いは決裂。
舞台は泥沼の裁判へと移りました。
信じていた絆が、お金という薄っぺらな紙切れのために、音を立てて崩れていく……。
私はその醜さに絶望し、いつしか「もう二度と、兄弟とも親族とも会いたくない」と心を閉ざしてしまいました。
弁護士から連絡が来るたびに、当時の罵声がフラッシュバックし、心が削られる日々。
しかし、今日届いた書類が、そのすべてを過去のものにしました。
封筒を開けると、そこに入っていたのは裁判所から届いた一通の「和解調書」。
そこには、「今後、互いに一切の金銭請求をしない」「互いの生活に関与しない」という、兄弟たちとの縁が切れた証が、黒々とした文字で刻まれていました。
心の整理
「……やっと、終わったんだ」
ふと鏡を見ると、そこには疲れ果てた顔ではなく、どこか吹っ切れた表情の自分がいます。
ふつふつと湧き上がるのは、悲しみではなく「解放感」。
あんなに執着して争った彼らも、結局は多額の弁護士費用を差し引けば、手元に大した額も残らないはず。
「さようなら。もう二度と、私の人生に現れないで」
私はスマホの連絡先から、彼らの番号を一つずつ削除しました。
まさかこんな日が来るなんて思わなかった。でも、これは絶望の終わりではなく、本当の私の人生の始まり。
泥のように眠るのではなく、明日はお気に入りのカフェで、とびきり高いコーヒーを飲もう。
そう決めた私の心は、窓から差し込む夕日よりも、ずっと明るく澄み渡っていました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














