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偽の逮捕状やビデオ通話を悪用し、恐怖で冷静さを奪う手口が急増。巨額被害を防ぐための具体的な対策
ある日、見知らぬ番号から電話がかかり、威圧的な声で、あなたに逮捕状が出ています、と告げられたらどうしますか。警察官や検察官を装い、恐怖心を煽って現金を騙し取るニセ警察詐欺が全国で猛威を振るっています。警察庁が発表した2026年2月の最新統計によれば、2025年の1年間におけるこの種の詐欺の認知件数は1万件を超え、被害総額は985億円以上に達しました。これは特殊詐欺被害全体の約7割を占めるという異常事態です。
この手口の最大の特徴は、1件あたりの被害額が極めて高額である点にあります。平均被害額は約910万円と、他の特殊詐欺と比べて3倍以上の規模になっています。その背景には、被害者をパニックに陥れ、外部との連絡を遮断させて冷静な判断力を奪う、周到に練られたシナリオが存在します。
実際に起きた事例では、名古屋市の高齢女性に対し、警察官を名乗る人物が犯罪への関与を一方的に告げた後、偽の逮捕状をレターパックで送りつけるという手段が取られました。逮捕状には本人の氏名や住所が正確に記されており、一見すると公文書のような体裁を整えています。専門家によれば、逮捕状が郵送で届くことは法律上あり得ませんが、突然の出来事に動揺した被害者は、最高裁裁判官が発付したといった不自然な記述に気づく余裕を失ってしまいます。
また、デジタル活用型の手口も増えています。SNSのビデオ通話機能を用い、警察の制服を着用した犯人が警察手帳を画面にかざすことで、視覚的に信頼させてしまうのです。その後、マネーロンダリングの疑いがあるから資金を調査する、といった名目で、インターネットバンキングを通じた送金や、暗号資産の購入を指示するケースが目立ちます。
SNS上では、
『レターパックで逮捕状が届くわけがない。警察が金を要求することも絶対にない。』
といった冷静な声がある一方で、
『ビデオ通話で制服姿を見せられたら、冷静でいるのは難しい。』
と、恐怖による判断力の低下を指摘する意見も見受けられます。
犯人が通話を切らせないように強要し、家族への口外を禁じるのは、客観的な視点が入ることで嘘が露呈するのを恐れているからです。
もし不審な連絡を受けたら、一度電話を切り、最寄りの警察署や警察相談専用電話へ自ら連絡を入れることが、何よりの防御策となります。
家族の間でも、こうした手口が実在することを共有し、お互いに注意を払い続けることが、大切な資産を守る第一歩となるでしょう。














