「彼女の影響もあったからね」成果報告で上司が付け加えた一言→仕事を途中で取り上げられた私が胸に押し込んだ沈黙
成果報告の場で聞こえた一言
「今回うまく着地したよ。彼女の影響もあったからね」
会議室で上司がそう付け加えた瞬間、私は口を閉じたまま頷いた。
影響。
そう、影響だ。データを整理し、関係部署への確認を重ね、週をまたいで組み上げてきた下地は、最終的に「影響もあった」という言葉に収まっていた。
会議室を出た後、廊下で一人になって、はじめて深呼吸した。
取り上げられた日のこと
仕事を渡したのは、それから数週間前だった。
取引先向けのプランの見直しを任されて、ようやく全体の形が見え始めたころだった。
直属の上司がデスク脇に立ち、こちらの作業画面を一瞥してから言った。
「やっぱり俺がやるからいいよ。途中だけど、今のうちに」
ファイルごと引き取られた。説明はなかった。
上司には上司なりの判断があったのかもしれない。
でも「いいよ」という言葉の意味が、ずっとひっかかっている。誰のための「いいよ」だったのか。
仕事を預けられた私は、一言も口にできないまま見送るしかなかった。
仕事を渡した後も、私はサポート役として動いた。資料の確認を依頼されれば応じ、取引先の担当者とのやりとりの経緯も共有した。
その間もずっと、自分がここまで積み上げてきた文脈は消えていなかったはずだ。
そのまま数週間が過ぎ、プランは形になった。数字も動いた。
胸に押し込んだ言葉
成果報告の席での上司の言葉を聞いたとき、喉元まで言葉が出かけた。
「あれは私が作ったものです」
でも言えなかった。場の空気も、上司との立場の差も、何より「言っても何も変わらない」という確信が、声を押し込んだ。
周囲の同僚は何も言わなかった。私も何も言わなかった。
帰り道、電車の中でぐるぐると考えた。仕事に向き合ってきた自分は間違っていなかったはずだ。
でも「影響もあった」の一言に収められた事実は、簡単には消えない。
あの言葉を使った上司が悪意を持っていたかどうかも、今となってはわからない。
自然に出た言葉だったのかもしれない。それがまた、モヤモヤを複雑にする。悪意があれば怒りで片がつく。
でも悪意がないとしたら、私の積み上げはどこへ行ったのか。
仕事は好きだ。今もそう思う。それでも、あの会議室の沈黙は、ずっと私の中に残り続けている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














