「双子だから2回引けるなんて得ね」双子だからくじを2回引く私を笑った保護者。だが、会長の一言で変わった会場の空気
PTA役員を決める、年末のくじ引き
年末の公民館には、パイプ椅子がずらりと並んでいました。
集まったのは、翌春に中学生になる子どもの保護者のうち、まだPTA役員をしていない人たちです。わが家の双子も、その年は小学6年生でした。
役員はくじで決まります。
二つ折りにした紙を袋から引き、子どもが2人いる私は2回引くことになっていました。
前の机では、議長を務めるPTA会長が名簿を見ながら順番に名前を呼んでいきます。
「次は、2回引いていただく方ですね。どうぞ」
「はい」
立ち上がって袋の前へ行き、私が手を入れたときでした。
斜め後ろから、笑い混じりの声が聞こえてきたのです。顔を合わせればあいさつをする程度の、同じ学年の保護者でした。
「双子だから2回引けるなんて得ね」
私はどう返せばいいのか分からず、そのままくじを探しました。
すると今度は、その人が軽く手を叩きながら声をかけてきました。
「引け、ひ〜け、当たり引け」
周囲から笑いが起こることはありませんでした。
会長が静かに止めた冷やかし
そのとき、前の机にいた会長が名簿から顔を上げました。
怒った様子ではありません。ただ、普段の連絡事項を伝えるときと変わらない口調で言いました。
「くじは皆さん静かに引いていただいています。お声がけはご遠慮ください」
すると、その保護者は少し不満そうに肩をすくめました。
「なによ。場を和ませようとしただけなのに」
会長は声を荒らげず、少し間を置いてもう一度伝えました。
「皆さん静かに引いていただいていますので、お声がけはご遠慮ください」
今度は返事がありませんでした。
私は気を取り直して1枚目を開きました。結果は×。続けて引いた2枚目も×でした。
「2枚とも×ですね。確認しました」
「ありがとうございます」
会長が名簿に印をつけ、私は席へ戻りました。
ほどなくして次の名前が呼ばれます。今度は、さっき私に声をかけていた保護者でした。
「次の方、前へどうぞ」
その人は黙って立ち上がり、袋の前まで歩いていきました。
今度は手拍子も声もありません。
会場には、紙を開く小さな音だけが響いていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














