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2026.09.15(Tue)

「そんなに響いてますか?」返事のない隣人から3度の苦情。だが、管理会社に相談した結果

「そんなに響いてますか?」返事のない隣人から3度の苦情。だが、管理会社に相談した結果

のぞき穴の向こうは無人だった

このアパートに住んで5年になる。帰宅は8時ごろ。風呂と片付けを済ませ、11時には寝る。

そんな生活が崩れたのは、3年前の春、隣の部屋の住人が入れ替わってからだった。

始まりは、ポストに入っていた一枚のメモだった。

「夜に洗濯機を回すのは控えてください」

一行だけだった。確かに遅い時間は避けたほうがいいと思い、それからはなるべく早めに済ませるようにした。

ところが数日後、夜に掃除機をかけていると、突然玄関の外から声がした。

「ちょっと、うるさいんですけど」

驚いて掃除機を止めた。

「すみません…」

そう答えながらのぞき穴を見る。しかし、廊下にはもう誰もいなかった。

ドアを少し開けると、隣の扉が閉まる音だけが聞こえた。

同じことが、その月のうちにあと2度あった。

3度目の夜、私は声が聞こえるとすぐにドアを開けた。

「すみません。そんなに響いてますか?」

隣の扉に向かって声をかけたが、返事はなかった。

少しして聞こえたのは、鍵をかける音だけだった。

そのころには、家の中で音を立てること自体が気になるようになっていた。

椅子は引きずらずに持ち上げる。夜9時を過ぎたら掃除機は使わない。

それでも、ときどき隣から壁を叩くような音が返ってきた。

「これ以上、どうすればいいんだろう…」

自分の部屋なのに、何をするにも隣を気にするようになっていた。

掲示板に貼られた紙

3か月ほどたったころ、職場で同僚にこの話をした。

「それ、一度管理会社に相談したほうがいいんじゃない?」

「でも、うるさいって言われてるのはこっちだから…」

「だからこそだよ。何時ごろだったか、分かる範囲でまとめて相談してみたら?」

私は、声をかけられた時間や壁を叩かれた時間を、覚えている範囲で紙に書き出した。それから管理会社へ電話をした。

担当者が来たのは、週明けの夕方だった。

玄関先で紙を渡しながら、私はこれまでのことを説明した。

「ドアの外から『うるさいんですけど』って言われたのが3回あって…。それからは、かなり気をつけてるんです」

担当者は紙に目を通しながら聞いた。

「掃除機を使っていたのは、だいたい何時ごろですか?」

「9時前後です。10時を過ぎて使ったことはありません」

「そうですか。少なくとも時間については、規約で決められている範囲ですね」

担当者は持っていた冊子を開いた。

「ここですね。掃除機や洗濯機などの家電は、午後10時までとなっています」

私は少しほっとして、聞き返した。

「じゃあ、時間については違反してないってことですか?」

「はい。ただ、音の響き方は部屋によって違いますから、時間内なら何をしてもいいというわけではありません。隣の方にも、そのあたりを含めてお話ししておきます」

「お願いします。直接話そうとしても、返事をしてもらえなくて…」

「分かりました。今後また何かあったら、直接やり取りせずにこちらへ連絡してください」

担当者はそのまま隣の部屋のチャイムを押した。

私は玄関の中に戻ったが、壁越しに声が聞こえた。

「生活音についてご相談がありまして。規約では、掃除機や洗濯機などは午後10時までとなっています」

少し間があった。

「……そうなんですか」

隣の男性の声だった。

「はい。ただ、音が響くこともありますので、その点はお互いに気をつけていただければと思います」

やり取りは、それほど長く続かなかった。

担当者が戻ってきて、私にも声をかけた。

「隣の方にも説明しました。今まで通り時間には気をつけてもらって、何かあったら管理会社に連絡してください」

「分かりました。ありがとうございます」

それ以降、隣から壁を叩かれることはなくなった。ドアの外から「うるさい」と声をかけられることもなかった。

翌朝、ゴミを出しに一階へ降りると、掲示板に新しい紙が貼られていた。

生活音について改めて注意を呼びかける内容で、「掃除機・洗濯機などの使用は午後10時まで」と書かれた部分には下線が引かれていた。

少しして、隣の部屋の男性も階段を下りてきた。

男性は掲示板の前で足を止め、同じ紙を見上げた。

ふと目が合った。

気まずくて視線を外しかけたとき、男性が小さく頭を下げた。

私も黙って会釈を返した。

言葉は交わさなかった。

朝の廊下には、どこかの部屋から掃除機の低い音が聞こえていた。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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