毎朝、電車に乗るのが落ち着かなくなった…車両を変えても3日続けて近くにいた男性、連絡先を断った翌朝の変化
朝の満員電車で、突然かけられた声
三十代の私にとって、朝の通勤電車は一日でいちばん疲れる時間でした。
ぎゅうぎゅうの車内で鞄を胸に抱え、降りる駅までなるべく静かに過ごす。その日も窓の外をぼんやり眺めていました。
すると、斜め後ろから声をかけられました。
「いつも、この時間ですよね」
「え…あ、はい」
振り返ると、紺色のコートを着た男性が立っていました。会社員のように見えましたが、私には見覚えがありません。
人違いかもしれないと思い、軽く会釈して前を向きました。
ところが翌朝も、ホームでその男性を見かけました。
電車に乗ると、また近くから声がします。
「今日は少し空いてますね」
「そうですね」
私は短く返し、そのまま窓のほうへ向き直りました。
朝のラッシュで疲れているときに話しかけられるのは、正直つらく感じました。ただ、まだ挨拶をされているだけです。嫌だとは言いづらく、私はそのままやり過ごしていました。
車両を変えても、近くにいた男性
それから私は、なるべく顔を合わせないように乗る車両を変えてみました。
前から二両目に乗った翌日は真ん中あたり、その次はいちばん後ろ。ところが、3日続けて車内を見回すと、男性が近くに立っていました。
偶然なのか、それとも私に合わせているのかは分かりません。
ただ、何度車両を変えても姿が見えることに、私はだんだん落ち着かなくなっていました。
3日目の朝、電車が駅に近づき、速度を落とし始めたころです。男性が私の横まで来ました。
「あの…連絡先、聞いてもいいですか」
突然のことに戸惑いましたが、私はすぐに答えました。
「すみません。お教えできません」
男性はそれ以上何も言わず、その日はそこで会話が終わりました。
ところが次の朝、また声をかけられました。
「昨日のことなんですけど……本当に、だめですか」
「はい。ごめんなさい」
今度ははっきり答えると、男性は少し間を置いてうなずきました。
「分かりました。失礼しました」
それ以上は何も言わず、男性は降りる人の流れに紛れていきました。
ようやく伝わったのだと思い、私は少しだけ肩の力が抜けました。
断った翌朝も、同じホームにいた
翌朝、いつものホームへ向かうと、男性はすでに列に並んでいました。
姿を見つけた瞬間、私は思わず足を止めそうになりました。
けれど男性はこちらへ近づいてはきません。電車に乗ってからも、私とは少し離れたドアのそばに立っていました。
ふと目が合うと、小さく頭を下げただけでした。
次の日も、その次の日も同じでした。
あれから、男性に声をかけられることも、近くに来られることもなくなりました。私は今も同じ時間の電車で会社へ通っています。
それでも毎朝、電車が来る前になると、つい一度だけホームを見回してしまいます。
紺色のコートの男性は、今朝も少し離れた場所に立っていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














