「奥さんは働いてるの?娘さんは何年生?」休日にも連絡してくる同僚から届いた一文に、既読をつけられない夜
一度答えたはずのことを、また聞かれる
同じ部署に、僕と同じ40代の男性が入ってきた。明るく、仕事の飲み込みも早い人で、最初のうちは話しやすい同僚が来たと思っていた。
「日曜って、いつも何してるの?」
「子どもの用事が多いですね。娘がひとりいるので」
「そうなんだ。奥さんは働いてるの?娘さんは何年生?」
世間話だと思い、聞かれたことには普通に答えていた。
ただ、しばらくすると少し気になることが出てきた。一度話したはずの休日の過ごし方や家族のことを、数日後にまた聞かれることが何度かあったのだ。
ある日、給湯室でコーヒーを待っていると、隣に来た彼が何気ない調子で聞いてきた。
「そういえば、給料っていくらもらってるの?」
「いや、それはさすがに言わないですよ」
僕が笑って返すと、彼も笑い、その場ではそれで終わった。
ところが翌週、エレベーターで二人になったときだった。
「で、給料っていくらもらってるの?」
前に断ったことを覚えていないのか、それとも分かったうえでもう一度聞いたのか。判断できず、僕はまた曖昧に笑って流した。
月曜の朝、引っかかったひと言
連絡先を交換してからは、休みの日にも彼からメッセージが届くようになった。
ある日曜、すぐに返信しないでいると、「今日は何してるの?」という内容のメッセージが続けて届いた。僕はしばらくして、「家族と出かけていました」とだけ返した。
翌朝、会社で顔を合わせると、彼はいつもと変わらない笑顔で言った。
「奥さんと娘さん、元気そうだったね」
一瞬、返事が出なかった。
「……ええ、まあ」
昨日、家族と出かけていたことは伝えた。でも、どこへ行ったのかは話していない。
どこかで僕たちを見かけたのだろうか。聞こうと思ったが、その場では言葉が出なかった。彼はそのまま自分の席へ戻り、何事もなかったように仕事を始めた。
その夜、妻にこれまでのことを話した。
「給料のことも二回聞かれたし、休みの日にもよく連絡が来るんだ」
「昨日のことも?」
「うん。どこかで見たみたいな言い方だった」
妻は少し黙ってから、「何かされたわけではないんだよね」と聞いた。
「それはない。普通に一緒に仕事してる」
実際、それ以上にはっきり困るようなことをされたわけではない。会社では普通に挨拶を交わし、仕事も一緒にこなしている。
だからこそ、僕自身もどう受け取ればいいのか分からなかった。
ただ、休みの日の夜にスマートフォンが鳴ると、すぐには画面を開けなくなった。
昨夜も通知が一度鳴った。画面を伏せる前、表示された一行目だけが目に入った。
「日曜は、どこか行ってたの?」
僕はそのまま、既読をつけずにスマートフォンをテーブルへ置いた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














