「ご祝儀は5000円の焼肉でいいでしょ」と繰り返す義母。結婚式の食事会で夫が伝えた気持ち
入籍祝いは、一人5000円ほどの焼肉
四十代の私が夫と結婚式を挙げたのは、2年前のことです。
夫が幼いころに両親は離婚し、義母が一人で子どもたちを育ててきました。
今も一人暮らしをしながら仕事を続けています。
入籍を済ませた週末、義母がお祝いに焼肉をごちそうしてくれました。
一人5000円ほどのお店で、義母は夫の子どものころの話をしながら、楽しそうに肉を注文していました。
食事を終え、店の前で義母が財布をしまいながら笑いました。
「入籍祝いのご祝儀は、この焼肉でいいでしょ」
「ありがとうございます。ごちそうさまでした」
結婚式に着る留袖を選んだときにも、義母は「安いものにしたから」と話していました。お金のことを口に出すのは、義母にとってそれほど特別なことではないのかもしれない。私はそう受け止めていました。
式の日にも繰り返された言葉
そして迎えた結婚式の日。
式を終えたあと、控室で夫と二人になった時間に、ご祝儀袋を確認しました。
義姉と義妹からはそれぞれ3万円、久しぶりに会った義父からは5万円が包まれていました。義母からのご祝儀はありませんでした。
焼肉をごちそうしてもらったことは分かっていますし、金額を比べたいわけでもありません。
ただ、あのとき何度も「これでいいでしょ」と言われたことが、少しだけ心に引っかかりました。
その後、親族での食事会が始まりました。
乾杯を終えると、義母が明るい声で言いました。
「うちはお祝い、焼肉で済ませましたからね」
私は笑って答えました。
「あのお肉、本当においしかったです。ありがとうございました」
すると義母は、また笑いながら言いました。
「でしょう。あれで十分よね」
夫が母親に伝えたこと
そのとき、夫がちらりと私を見ました。それから義母のほうを向き、穏やかな声で言いました。
「母さん、お祝いの金額は別にいいんだよ。ただ、それを何度も言われると、妻も返事に困るだろ」
義母は少し黙りました。
すると義父も湯のみを置き、静かに口を開きました。
「祝いは気持ちでいいんだから、何度も言わなくていいだろ」
義母は言い返さず、テーブルの上で手を組みました。義姉が次の料理を勧めると、話題は自然と式の写真へ移っていきました。
食事会がお開きになり、みんなが店を出るころ、義母が私の袖をそっと引きました。
「今日はきれいだったわよ」
「ありがとうございます。来ていただけて、うれしかったです」
義母は小さくうなずき、夫の腕に軽く触れてから駐車場へ歩いていきました。
帰り道、夫は「言えてよかった」とだけ笑いました。
ご祝儀がなかったことよりも、私が返事に困っていたことに夫が気づき、その場で言葉にしてくれたこと。そのことのほうが、私にはずっと心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














