「夜中の2時、3時に掃除機の音がする」2年間あいさつのない隣家を見て、朝になって気づいたこと
返ってこない「こんにちは」
このあたりは、道ですれ違えば自然とあいさつを交わすような田舎の住宅地です。50代になった今、私は夫と一戸建てで暮らしています。
隣の家に今の住人が越してきたのは、2年前の春でした。
「こんにちは。いいお天気ですね」
玄関先で初めて顔を合わせたとき、私はそう声をかけました。けれど、相手は特に返事をせず、そのまま家の中へ入っていきました。
その後も駐車場などで何度か顔を合わせましたが、状況は変わりません。私は会えば頭を下げますが、相手から声をかけられたことはありませんでした。
昼間はとても静かな家です。ところが夜中になると、隣の家のほうから掃除機や洗濯機のような音が聞こえてくることがありました。
お盆に帰ってきた娘へその話をすると、驚いたように箸を止めました。
「え、夜中って何時くらい?」
「2時とか3時よ」
「そんな時間に?」
「まあ、昼と夜が逆の生活なのかもしれないしね。私は勝手に“妖精さんが掃除してる”って思うことにしてるの」
娘が吹き出すと、夫も「ずいぶん働き者の妖精だな」と笑いました。そのときは、私もただの笑い話として話していました。
窓のない側から聞こえた音
娘が帰った数日後の夜、私はふと目を覚ましました。
時計を見ると、午前3時ごろ。耳を澄ますと、また掃除機のような低い音が聞こえます。
ただ、その夜はいつもより近く感じました。音がするのは、ちょうど私たちの寝室と向かい合う、隣家の側でした。
翌朝、庭へ出たときに何気なく隣の家を見上げました。その側の外壁には、1階にも2階にも窓がありません。
もちろん、窓がないからといって中に部屋がないわけではありません。ただ、どんな間取りなのかは分からず、私はそれまで気にしたこともありませんでした。
夕方、娘に電話をして昨夜のことを話しました。
「2年間、あいさつもしない隣の家から、夜中の3時に掃除機の音がするの」
「この前言ってたやつ?」
「そう。昨日は、窓のない側から聞こえた気がしてね」
「そこ、何の部屋なんだろうね」
「分からないの。お父さんは物置じゃないかって言ってるけど」
娘は少し黙ってから、「まあ、あんまり気にしすぎないでね」と言いました。
隣とは今も、特にもめごとはありません。駐車場で会えば私は頭を下げ、相手はそのまま家へ入っていく。それだけです。
ただ、夜中に目が覚めると、ときどき耳を澄ませてしまいます。
今夜も3時ごろ、隣の家の窓のない側から、あの掃除機のような音が聞こえてきました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














