「課長に、夕飯の希望を送った」妻あてのメッセージを誤送信した僕。笑わない上司から1分後に届いた思わぬ返信
笑わない課長に送ってしまった
うちの課長は50代で、仕事に厳しい人です。笑った顔はほとんど見たことがありません。
そんな課長に、とんでもないメッセージを送ってしまったのは、ある日の昼すぎのことでした。
自分の机で仕事をしていると、社内の連絡ツールに課長から書類の提出を頼むメッセージが届きました。
そのとき僕は、妻に夕飯の希望を書こうとしていました。
先に仕事の返信を済ませようと、課長への返事を入力して送信。
しかし、送った文章を見直した瞬間、血の気が引きました。
仕事の返事のあとに、妻へ送るつもりだった「今日の夕飯、ハンバーグがいいな」という一文まで続いていたのです。
「あっ、やばい……!」
思わず声が漏れると、隣の席の同僚が顔を向けました。
「え、どうしたんですか?」
「課長に、夕飯の希望を送った…」
「えっ?」
同僚は僕の画面をのぞき込み、慌てて口元を押さえました。肩が小刻みに震えています。
「ちょっと、笑わないでくださいよ。本当にまずいんですって!」
僕はすぐに、送り先を間違えたことを謝るメッセージを送りました。
恐る恐る部屋の奥を見ると、課長はいつもどおり無表情で画面を見つめています。
怒っているのだろうか。あとで呼び出されたらどうしよう。
そんなことばかり考えていました。
1分後に届いた予想外の返信
ところが、謝罪のメッセージを送ってから約1分後、課長から返信が届きました。
「ハンバーグにできるよう、18時ぴったりに退勤しよう」
「……え?」
何度読み返しても、そう書いてあります。
隣の同僚にも見せると、今度は声を押し殺して笑い始めました。
「課長、冗談じゃないですか?」
「いや、でも…あの課長ですよ?」
普段の課長からは想像もできない返信です。冗談なのか、それとも遠回しに注意されているのか、僕には判断できませんでした。
そして迎えた18時。
課長がかばんを持ち、僕の机の横に立ちました。
僕が顔を上げると、課長は壁の時計を指さします。
「時間だ。ハンバーグが待っているぞ」
「えっ、あ…はい!あの、昼は本当にすみませんでした」
「もういい。ほら、早く帰りなさい」
課長は最後まで真顔のままです。
隣の同僚はとうとう吹き出し、課長の「ハンバーグ」という言葉が聞こえた後ろの席からも笑い声が上がりました。
僕は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、かばんをつかんで会社を出ました。
食卓に並んでいたのは、まさかの焼き魚
その日の夜、帰宅して食卓を見ると、そこにはハンバーグではなく焼き魚が並んでいました。
「あれ、今日ハンバーグじゃないんだ?」
そう聞くと、妻は不思議そうな顔をしました。
「え?ハンバーグ?そんなこと聞いてないよ」
「あっ、そっか…」
そうでした。夕飯の希望は妻に送ったつもりで、実際には課長へ送っていたのです。
昼間の出来事を説明すると、妻は焼き魚の皿を前にして大笑い。
「ちょっと待って!課長さん、18時に帰らせてくれたの?」
「そう。しかも最後まで真顔だったんだよ」
「もう、面白すぎる!」
僕までつられて笑ってしまいました。
翌朝、出社すると、課長が僕に声をかけました。
「おはよう。ハンバーグはうまかったか?」
「それが……昨日は焼き魚でした」
「そうか」
課長は重々しくうなずくと、真面目な顔で一言。
「次は、奥さんにも送るように」
思わず笑ってしまいました。
それ以来、僕たちの課では、定時に帰ることを「ハンバーグにする」と呼ぶようになりました。
夕方になると、課長が真っ先にかばんを持って立ち上がります。
「今日は、全員ハンバーグだ」
今では、その一言を聞くのが少し楽しみです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














