「長男なんだから、そこはお願いしたいのよ」祖母の遺産は平等に分けたい叔母たち。未払い料金をめぐる話し合いの結末
遺産は平等、でも支払いは長男だけ?
祖母が亡くなったのは、6年ほど前のことです。
遺された現金は100万円ほど。
一方で、病院や施設の料金には、まだ支払われていない分がありました。
父は4人きょうだいの長男です。
叔母たちとは、私が子どものころから折り合いがよくありませんでした。
葬儀のあと、その叔母たちが珍しく実家を訪ねてきました。
夜の居間で、叔母たちは座卓をはさんで父の向かいに座りました。
私は部屋のすみでお茶を用意しながら、話を聞いていました。
「遺産は4人で同じに分けるのよね」
上の叔母が尋ねると、父は「ああ、それでいいよ」と答えました。
叔母たちは安心したように顔を見合わせました。しかし、そのあとに出た言葉に驚きました。
「それで、病院と施設の払ってない分は、お兄さんが払ってね」
「え?それもみんなで負担するんじゃないのか?」
父が聞き返すと、下の叔母が少し不満そうな顔をしました。
「長男なんだから、そこはお願いしたいのよ」
「いや、遺産は4人で分けるんだろ?支払いだけ俺っていうのはおかしくないか?」
「でも、私たちまで払うことになるの?」
どうやら叔母たちは、未払い料金は父が負担するものだと考えているようでした。
受け取るお金は平等に分けたいのに、支払いは父に任せたい。その言い分には、私も納得できませんでした。
父も何度か説明しましたが、叔母たちは考えを変えず、その日の話し合いはまとまりませんでした。
司法書士の説明を聞いて黙った叔母たち
その後、父はきょうだい全員で司法書士に相談することにしました。
約束の夕方、司法書士の向かいに父と叔母たち、叔父が座りました。
付き添いの私は、壁ぎわの椅子で話を聞いていました。
叔母たちは、ここでも同じ主張を繰り返しました。
「遺産は4人で分けるんですけど、病院とかの支払いは兄にお願いしたいんです」
司法書士は話を聞き、確認するように尋ねました。
「お兄さんが全部負担するということですか?」
「はい。長男ですし…」
「なるほど。ただ、長男だから全部払わなければならない、という決まりはないんですよ」
上の叔母が少し驚いたように顔を上げました。
「そうなんですか?」
「はい。亡くなった方ご本人の未払い料金なら、基本的には相続人が法定相続分に応じて負担することになります」
下の叔母が口を開きました。
「じゃあ、私たちも払うってことですか?」
「そういうことになりますね。ただ、実際の支払い義務については、契約の内容なども確認する必要があります」
叔母たちは顔を見合わせましたが、それ以上は何も言いませんでした。
上の叔母は膝の上で手を組み直し、下の叔母はうつむいたままです。叔父も小さく首を振っていました。
司法書士の説明を聞いたあと、父たちは改めて話し合い、未払い料金はきょうだい4人で分けて負担することになりました。
相談を終えて外に出ると、すっかり暗くなっていました。
街灯の下で、父がぽつりと言いました。
「同じなら、最初から同じでよかったんだけどな」
怒っているというより、どこか疲れたような声でした。
あの夜を最後に、叔母たちとは疎遠になりました。私ももう、あの人たちを親戚とは思っていません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














