「交通費と慰謝料で5000円払ってくれ」食べ終えたカレーの箱を持参した男性客。だが、30分以上の抗議に店長が返した言葉
食べ終えた箱を持ってきた男性客
以前勤めていた店で、私がレジを担当していたときのことです。
ある日の夕方、年配の男性客が険しい表情で列に並び、自分の番になるとレシートとカレーの空き箱をカウンターに置きました。
「これ、昨日ここで買ったんだけどさ。箱が潰れてたんだよ。どういう管理してるんだ?」
確認すると、たしかに外箱の角が少しへこんでいました。ただ、箱はすでに開けられていて、中身もすっかりなくなっています。
「申し訳ございません。新しい商品とお取り替えいたします」
そうお伝えすると、男性はさらに不機嫌そうな顔になりました。
「いや、もう食べたんだよ。今さら交換されても困るだろ」
「そうですよね。申し訳ございません」
「わざわざ店まで来たんだぞ。交通費だってかかってるし、嫌な思いもしたんだ。5000円くらい払ってくれてもいいだろ」
突然の要求に、私は戸惑いました。
「申し訳ありませんが、交通費や慰謝料としてのお支払いはできかねます」
「じゃあ誰なら払えるんだよ。責任者を呼べ!本部にも言うぞ!」
男性は空き箱でカウンターをたたき、声を荒らげました。
店長を呼んでもらいましたが、搬入の対応中ですぐには来られません。
私は繰り返し謝罪しながら、男性の話を聞くしかありませんでした。
「こっちはわざわざ来てるんだよ。それなのに何もしてくれないのか?」
男性の声は店内に響き、周囲のお客様もこちらを気にしています。
気づけば、対応を始めてから30分以上が過ぎていました。
本部に電話すると言い出した男性客
ようやく店長がレジの横にやって来ました。
店長は男性の話を聞くと、落ち着いた声で謝りました。
「箱がへこんでいたとのことで、申し訳ありません。商品の交換か、代金の返金でしたら対応いたします」
「だから、そういう話じゃないって。交通費と慰謝料で5000円払ってくれって言ってるんだよ」
「申し訳ありませんが、それはできません」
「なんでだよ。本部に電話してもいいんだぞ」
すると店長は、声を荒らげることなく答えました。
「本部にご連絡いただいても構いません。ただ、交通費や慰謝料をお支払いする対応はしておりませんので、ご案内は同じになります」
男性は少し黙り込みました。
「……じゃあ、どうしろっていうんだよ」
「商品代金の返金か交換でしたら、今すぐ対応できます。いかがなさいますか?」
店長がそう尋ねても、男性は返事をしませんでした。
後ろには買い物かごを持ったお客様が並んでいます。
「ほかのお客様もお待ちですので、申し訳ありませんが、これ以上は同じご案内になります」
男性はしばらく店長を見ていましたが、結局、返金も交換も受けず、空き箱を持って店を出ていきました。
次に並んでいた女性が、私に小さく会釈してくれました。その表情を見て、ようやく緊張が少しほぐれました。
店長は私の肩をぽんとたたきました。
「長い間、対応してくれてありがとう。大変だったね」
「ありがとうございます。助かりました」
私は深く息を吐いてから、次のお客様のかごを受け取りました。
あれだけ大きな声で要求されても、最後まで落ち着いて対応した店長の姿が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














