「わざわざこのクーポン使うために店を選んだんだから」居酒屋のレジで15分粘った男性客。だが、仲間の一言で態度が一変
仲間の前で出したクーポン
居酒屋でアルバイトをしていた、3年ほど前の金曜日の夜のことです。
店内は座敷もカウンターも満席で、私はレジと配膳を行ったり来たりしていました。
そんな中、奥の席にいた4人組の男性客が会計にやってきました。
先頭の男性は、仲間に携帯電話の画面を見せながら、得意げに話しています。
「今日はこれで安くなるからな。俺に感謝しろよ」
そしてレジに着くと、その画面を私に差し出しました。
「これ、使って」
表示されていたのは割引クーポンでした。ただ、注意書きには金曜日と祝日の前の日は利用できないと、大きな字で書かれています。
「申し訳ありません。こちら、金曜日はお使いいただけないんです」
そう伝えると、男性は不満そうな顔になりました。
「え、なんで?クーポンあるじゃん」
「金曜日と祝日の前の日は対象外になっていまして…」
「そんなの分からないよ。割引してくれないの?」
私はもう一度、注意書きを示しました。しかし、男性は納得してくれません。
「わざわざこのクーポン使うために店を選んだんだから」
「何とかならないの?責任者呼んでよ」
15分続いた押し問答と、仲間の一言
店長は厨房の奥で注文に追われていて、すぐには出てこられそうにありませんでした。
「少々お待ちいただけますか」と伝えても、男性は「割引くらいできるでしょ」と繰り返します。
その間にも、後ろには会計を待つお客さんが増えていきました。伝票を持った人たちの列は、入り口のほうまで延びています。
何度説明しても話は進まず、気づけば15分ほどが過ぎていました。
それまで黙っていた連れの3人も、さすがに困った様子です。
すると、眼鏡をかけた男性が携帯電話の画面をのぞき込みました。
「ちょっと見せて。……あれ、金曜は使えませんって書いてあるよ」
「いや、だから、そんなの分かりにくいだろ」
「でも、ここに結構大きく書いてあるじゃん」
男性は何か言い返そうとしましたが、言葉が続きません。
そこへ、背の高い男性も口を開きました。
「後ろ、すごい並んでるよ。もう払おうよ」
男性が振り返ると、会計を待っているお客さんたちと目が合いました。
「……分かったよ」
さっきまで強い口調で話していた男性は、携帯電話をしまい、顔を赤くしたまま財布を取り出しました。
ようやく通常料金での会計が終わったころ、厨房から店長が出てきました。レジの列を見て、男性たちに頭を下げます。
「お会計でお待たせして、申し訳ございませんでした」
男性は何も言わず、うつむいたまま出口へ向かいました。連れの3人は私に小さく会釈をして、そのあとに続きます。
私はようやく一息つき、次のお客さんに向き直りました。
「大変お待たせいたしました」
何度説明しても納得してもらえなかったのに、仲間から同じことを指摘されると、あっさり会計が進んだことに驚きました。
あのとき、連れの人たちが声をかけてくれなかったら、押し問答はまだ続いていたかもしれません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














