tend Editorial Team

2026.08.01(Sat)

「200万は貸すから、利子はいらない」弟に貸した奨学金分のお金。書面まで用意したワケ

「200万は貸すから、利子はいらない」弟に貸した奨学金分のお金。書面まで用意したワケ

5歳の差が意味を持った年

弟が大学に進むとき、奨学金を2種類借りました。利子のつかないものと、つくものです。

当時の私は就職して間もなく、その中身をよく知りませんでした。

意味が分かったのは、弟の返済が始まる年です。私は5歳上ですから、そのとき働いて5年が過ぎていました。

生活は落ち着き、口座には手をつけずに残っている額があります。

実家で弟の返済予定の紙を見せてもらい、利子のつくほうの総額を目で追いました。

返し終わるまでに、元金にかなりの額が乗る計算です。

「200万は貸すから、利子はいらない」

「いや、それは受け取れないって」

「あげるとは言ってない。私に返して」

書面にしたのは信用のためではない

私たちは、仲の良い姉弟ではありません。

用がなければ連絡もしませんし、話が弾んだ記憶もあまりない。その距離感で200万円を動かすなら、形が必要だと思いました。

作ったのは、法律の決まりに沿った書面です。

貸した額、返す額、間隔、遅れた場合の扱い。調べながら二人で文言を決めて、読み合わせをしてから署名しました。

「ここまでする?」

「するよ。あとで揉めたら、もっと面倒だもん」

弟は素直にうなずいて、名前を書きました。感謝の言葉も、遠慮の言葉もありません。

手続きめいたやりとりのほうが、この距離の私たちには合っていたのだと思います。

押した数だけ、確かになる

返済のたび、二人で判を押します。金額と日付を書いて、朱肉を出して、順番に。それだけの作業です。

「今月ぶん、置いていくね」

「じゃあ、ここに押して」

用件が済めば弟は帰ります。近況を聞くこともありません。それでも、判の跡が並んでいくのを見ると、この人はきちんとやっているのだと分かります。

言葉で確かめなくていいのが、うちには合っていました。仲直りをしたわけでも、急に打ち解けたわけでもない。ただ、約束が守られている記録だけが、毎回ひとつずつ増えていきます。

無利子のほうも、弟は自分で返し続けているようです。200万円はまだ残っていますが、私は半分あげたつもりで気長に待っています。

困っていないので、催促もしません。

姉として、静かに見ているだけです。判を押すあいだの数分が、私たちには十分な会話になっています。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.11.06(Fri)

「ちょっとくらい、協力してくれてもねえ」駐車場の下に下水管を通す頼みを断った私。後日、工務店の担当者が返した言葉
tend Editorial Team

NEW 2026.11.06(Fri)

「いつまで待たせる、5組も抜かすな」と店員に怒鳴る男性客。名簿を掲げた返事で、勘違いに気づき小声で詫びた姿
tend Editorial Team

NEW 2026.11.06(Fri)

「誰も使っていない場所ですよ?」共用駐車場に植木鉢を並べる隣人。だが、何度頼んでも植木鉢を撤去しなかった結果
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.03.03(Tue)

「日本の宝だろ」「天才やん!」と絶賛の声続出。神解説で話題の高橋成美、番組内で7カ国語を披露しスタジオ騒然
tend管理者

2026.04.23(Thu)

社民・ラサール石井氏「とにかく現場を見てから言ってくれ」とデモの人数めぐり自民・門氏らに反論
tend Editorial Team

2026.05.24(Sun)

テレビ番組の演出と出演者の関係性を問う!鈴木紗理奈さんが訴えた信頼関係なき実名暴露に共感と議論の声が殺到
tend Editorial Team