「嫌なら、窓を閉めとけよ」明け方に大音量で音楽を流す近所の父親。自治会長が差し出した一枚の紙に言葉を失った
明け方に響く音楽と、父親の一言
近所に、改造バイクを趣味にしている家族が住んでいました。
困っていたのは、明け方に響いてくる大音量の音楽です。
まだ外が暗いうちに、車から音楽を流しながら帰ってくることがあり、そのたびに私は目を覚ましてしまいました。
バイク仲間が集まる日には、仲間の車が私の家の前にまで停められ、そこからも音楽が聞こえてきます。
最初は我慢していましたが、何度も睡眠を妨げられるうちに、さすがに困ってしまいました。
ある明け方、私はパジャマの上に上着を羽織り、外に出ました。
道端では、その家の父親が改造バイクのそばにしゃがみ込み、何かをいじっていました。
「すみません、ちょっといいですか」
声をかけると、父親はこちらを振り返りました。
「何ですか?」
「音楽なんですけど、もう少し小さくしてもらえませんか。朝早いので…」
すると父親は、少し面倒そうな顔をしました。
「こっちは趣味でやってるんですよ。そんなことまで言われてもね」
「でも、音で目が覚めてしまうんです。まだ寝ている人もいる時間ですし」
「嫌なら、窓を閉めとけよ」
そう言うと、父親は近くに停めてあった車の音楽を、さらに大きくしたのです。
まさか逆に音を大きくされるとは思わず、私は言葉を失いました。
これ以上話しても聞いてもらえそうになく、結局、そのまま家に戻りました。
自治会長が差し出した申し入れの紙
その日の夕方、私は自治会長に相談しました。
「明け方の音楽がうるさくて、一度お願いしたんですけど、聞いてもらえなくて……」
すると自治会長は、事情を知っている様子でした。
「ああ、あのお宅ですね。実は、ほかの方からも相談が来ているんですよ」
どうやら、困っていたのは私だけではなかったようです。
自治会では、相談を寄せた家の名前を連ねた申し入れの紙を作り、直接伝えることになりました。
別の日の昼、自治会長がその家を訪ねました。私と近所の人たちも、少し離れたところから様子を見ていました。
玄関から出てきた父親に、自治会長が声をかけます。
「すみません。朝方の音のことで、少しお話があるんですが」
父親は、またその話かという表情を浮かべました。
「またですか。うちの趣味なんで、そこまで言われても困りますよ」
自治会長は落ち着いた口調で答えました。
「趣味をやめてほしいわけではないんです。ただ、明け方の音や、ほかのお宅の前に車を停めることで困っている方がいるんですよ」
「そんなにうるさいですかね」
「近所の何軒もから、申し入れが届いています」
自治会長はそう言って、持っていた紙を差し出しました。
「こちらを見ていただけますか。今後も続くようでしたら、皆さんで一度話し合いをしたいと思っています」
父親は紙に目を落としました。
そこには、同じように困っていた近所の家々の名前が並んでいました。
父親はしばらく紙を見つめ、それから少し離れた場所にいる私たちに目を向けました。
先ほどまで言い返していた父親でしたが、そのときは何も言いませんでした。
結局、黙って紙を受け取ると、そのまま家の中へ戻っていきました。
それからは、明け方に大音量の音楽が響くことはなくなりました。家の前に仲間の車が停まることもなくなったのです。
私一人がお願いしても聞いてもらえませんでしたが、同じように困っている人たちがいると伝わったことで、考えてもらえたのかもしれません。
今では、明け方に音楽で起こされることもなく、静かに眠れるようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














