「勝手に悪者にするな!」と騒音の苦情の席に怒鳴り込んだ隣人。私が静かにスマホを出すと、住民の前で頭を下げた
集会所に怒鳴り込んだ隣の男性
隣の男性が集会所に入ってきて、私を悪者だと怒鳴りました
町内会の集会所には、住民が十人ほど集まっていました。
会長が進行し、議題は深夜の騒音や路上駐車への苦情です。
私が悩んでいたのは、隣の家の男性が出す重低音でした。夜になると床まで震えるような音が響き、五十代の私には睡眠不足がこたえていました。
音が鳴るのは、決まって零時すぎです。眠りかけるたびに起こされ、翌朝の仕事にも響いていました。
一度、玄関先で音を控えてほしいと頼んだこともあります。
男性は『そんなに響くわけがない』と鼻で笑い、音は少しも変わりませんでした。
私が苦情を話す番になったころ、集会所の戸が荒々しく開きました。入ってきたのは、その隣の男性でした。
「勝手に悪者にするな!」
男性は声を張り上げ、集まった人たちを順ににらみつけました。
集会所は静まり、私は口を結んだまま男性の言い分を聞きました
集会所は静まり返り、住民たちは長机に目を落としたまま動きません。私に助け船を出す人もいませんでした。
私は両手を膝の上で組み、口を一文字に結んでいました。ここで言い返せば、ただの怒鳴り合いになります。まずは男性の言い分を最後まで聞くことにしました。
男性は私の前に立ち、胸を張って続けます。
「夜は十時に寝る。」
「うちの音じゃない!」
夜中に音を出せるわけがない。そう言いたげに、男性は座る私を見下ろしました。
静かに口を開いた私
私は録音した零時すぎの重低音を、男性の前で再生しました
男性が言い終えるのを待って、私は上着の内側からスマートフォンを取り出しました。
あの音に悩み始めてから、私は夜ごと、隣家側の壁に向けて録音を続けてきました。録音は日付ごとにファイルを分けてあります。
「零時すぎの音、三十日分あります。」
私は座ったまま、ファイルの一覧を開いて男性に向けました。親指で一番上を押すと、零時すぎに隣の壁から響いた低い振動音が、集会所に流れ出しました。
続けて別の日の録音も再生しました。どの日も、音が鳴り出す時刻はほとんど同じです。
男性は住民の前で頭を下げ、その夜から騒音はやみました
男性は口を半開きにしたまま、『そ、そんなに録ってたのか』と声をふるわせました。
会長が咳払いをして、手元の紙から顔を上げました。
『録音が何日分もあるなら、聞き間違いでは済みませんね』
会長の隣に座る住民も、静かにうなずきます。『うちにも響いてましたよ』と、ほかの席からも声が上がりました。
男性は肩を落とし、上体を深く折って頭を下げました。
「すみませんでした。夜は静かにします。」
その夜から、隣は静かになりました。翌週、ごみ置き場で会っても、男性は会釈だけして通り過ぎます。久しぶりに朝まで眠れて、体がずいぶん軽く感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














