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2026.10.05(Mon)

「お皿は灰皿ではありません」料理をけなし値引きを求めた客。だが、店主が伝えた正論

「お皿は灰皿ではありません」料理をけなし値引きを求めた客。だが、店主が伝えた正論

店じゅうに響いた大きな笑い声

今から20年ほど前、友人とお昼を食べに、町の小さな定食屋へ入りました。

店内でたばこを吸うことが、まだ珍しくなかったころです。

私たちは窓ぎわのテーブルに座り、2人とも唐揚げ定食を頼みました。

隣のテーブルでは、60代くらいの男女4人が先に食事をしていました。

店の奥さんがお茶を注ぎに来ても、4人はほとんど顔を上げません。

なかでも一人の男性は、店の人に何か頼むたび、ぶっきらぼうな口調でした。

しばらくすると、その男性が店内に響くほどの声で言いました。

「いやあ、あんまりうまくなかったな」

すると、ほかの3人がどっと笑います。友人は箸を止め、小声で私に言いました。

「これ、わざと聞こえるように言ってない?」

「うん…厨房まで聞こえてそう」

その後、男性はたばこを吸い終えると、唐揚げがのっていた平皿に吸い殻を押しつけました。

ほかの3人も続き、同じ皿へ吸い殻を入れていきます。

さらに男性は声を張りました。

「唐揚げもご飯もまずい店だな。灰皿もないのか」

店の奥さんが急いで灰皿を持ってきましたが、そのころには皿の上に何本もの吸い殻がありました。

男性は灰皿を受け取らず、テーブルの端へ押しやりました。

伝票を見た男性が黙り込んだ

食事を終えた4人は、入口のレジへ向かいました。厨房から出てきた店主がレジに立つと、男性は台越しに言いました。

「正直、まずかったしさ。半分くらい残したんだ。少しくらい引いてくれるよな?」

私と友人は思わず顔を見合わせました。

店主は言い返すことなく、手元の伝票を確認してから、男性の前へ差し出しました。

「お客様、唐揚げは2回、追加でご注文されています。ご飯も4杯、おかわりされていますよ」

男性の表情が止まりました。

店主は続けます。

「お下げしたお皿も、料理が半分残っていたものはありませんでした。あったのは、吸い殻の入ったお皿だけです」

少し間を置いて、店主は静かに言いました。

「お皿は灰皿ではありませんので。お代は伝票どおり、お願いします」

男性は伝票を見たまま何も言い返しませんでした。店内のあちこちから小さな笑い声が漏れると、うしろの3人も気まずそうに目をそらします。

結局、男性は黙って財布を開き、伝票どおりの金額を支払いました。4人はそのまま早足で店を出ていきます。

店主が何事もなかったように厨房へ戻ると、友人がぽつりと言いました。

「……ご飯、4杯もおかわりしてたんだね」

私は思わずうなずき、残っていた唐揚げをひとつ口に運びました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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