「雑誌、取っておけばいいのに」上京前に漫画雑誌を捨てた私。30年後、テレビに映った1冊に唖然
聞き流した母のひと言
大学に受かった春、私は実家の押し入れの前で荷物を整理していました。
下の段には、小学生のころから買い集めていた少年漫画雑誌が積まれています。
上京を前に荷物を減らしたかった私は、雑誌を全部処分することにしました。
何冊かずつ重ね、ビニールひもでしばっていると、後ろから母が声をかけてきました。
「雑誌、取っておけばいいのに」
「もう読まないよ。向こうに持っていくわけでもないし」
「ここに置いておけばいいじゃない。押し入れも空いてるんだから」
「大丈夫。漫画もそろそろ卒業するよ」
私は笑って、そのまま片づけを続けました。
最後の束のいちばん上には、新しい連載が始まった週の号が載っていました。
それも特に気にせず、翌朝、ほかの雑誌と一緒に資源ゴミへ出しました。
空になった押し入れを見て、「これで身軽になった」と満足していたのを覚えています。
テレビに映った、見覚えのある表紙
それから30年。
50代になった私は、ある夜、自宅で妻とテレビを見ていました。
番組では、昔の漫画雑誌が高値で取り引きされているという特集が流れていました。
「こういうのって、状態がよくないと値段がつかないんだろうな」
そんなことを言いながら見ていると、次の瞬間、ある有名漫画の第1回が掲載された号が画面いっぱいに映りました。
私は思わず身を乗り出しました。その表紙には、はっきり見覚えがあったのです。
30年前、最後の束のいちばん上にあった、あの雑誌でした。
「あっ……これだ!これ、うちにあった!」
思わず声を上げる私を見て、妻が驚いた顔をしました。
「前に話してた、捨てた雑誌?」
「そう。母にも取っておけって言われたのに…」
「それは、もったいなかったね」
私は画面に映る雑誌を見ながら、頭を抱えるしかありませんでした。
次の週末、実家で母にその話をすると、母はお茶をすすりながら私を見ました。
「だから、言ったのに」
そして押し入れを開けると、中には私が小学生のころに描いた落書き帳が、ひもで束ねて残してありました。
「こっちは、ちゃんと取っておいたから」
高く売れる雑誌はなくなってしまいましたが、母が残してくれていたものを見ているうちに、悔しさとは少し違う気持ちになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














