「じゃあ今から、お米を研ぐね」炊きたてのご飯を前に真顔で言った母。妹の冗談を信じて始めた行動に家族が唖然
炊飯器を開けた母の、まさかの一言
日曜の夜、実家の食卓には、母が昼過ぎから準備していた料理がずらりと並んでいました。
母は少しおっとりした性格で、料理をしていると、あとから家族で思い出して笑うような出来事が起きることがあります。
この日、食卓についていたのは父と20代の妹、30代の私の3人。母は台所で茶碗を並べ、炊飯器の前に立っていました。
「いい匂い。お腹すいた」
「はいはい、もうすぐよ。ご飯よそうからね」
母が炊飯器のふたを開けると、ふわっと湯気が立ちのぼりました。
ところが、しゃもじを手にした母が、ふと首をかしげたのです。
「あれ?私、お米研いだかしら?」
すると妹が、いたずらっぽく笑いながら答えました。
「研いでないよ」
もちろん、妹の冗談です。
いつもなら母も笑って返すところですが、この日は違いました。
「あら、そうだった?じゃあ今から、お米を研ぐね」
「……え?」
私は思わず妹の顔を見ました。
妹も、まさか母が真に受けるとは思っていなかったようです。
炊きたてのご飯を、ざるに移した母
母は戸棚からざるを取り出すと、炊飯器のご飯をしゃもじですくい、次々と移し始めました。
「え、ちょっと。何するの…?」
妹が小さな声でつぶやきます。
まさか本当に洗うつもりなのか。
そう思った次の瞬間、母はざるを流しに置き、蛇口をひねりました。
ジャーッと水が流れ、炊きたてのご飯が洗われていきます。
あまりに予想外の光景で、私たちはすぐに言葉が出ませんでした。
父は箸を持ったまま固まり、妹は目を丸くしています。
私も、ただ母の背中を見つめていました。
やがて母は水を切り、何事もなかったように振り返りました。
「はい、これで大丈夫。さあ、食べましょう」
茶碗によそわれたご飯は、すっかり湯気が消え、水気を含んでいました。
父がひと口食べ、しばらく黙ってから言いました。
「…うん。まあ、これはこれで、新しい味だな」
その真面目な顔に、妹がとうとう吹き出しました。私も笑いをこらえられません。
「えっ、何?どうしたの?」
不思議そうにする母に、妹が笑いながら言いました。
「お母さん!お米を研ぐのは炊く前だよ!それ、もう炊けてたじゃん!」
母は炊飯器とざるを見比べ、ようやく気づいたようでした。
「あっ、そうか!私、何してるの!」
そう言って母自身が笑い出し、結局、家族4人で大笑いしました。
ご飯はいつもの炊きたてとは違う食感でしたが、みんなで茶碗1杯ずつ食べきりました。
食後、父がお茶をすすりながら、ぽつりと言いました。
「次からは、研いだか聞かれたら研いだって答えような」
その一言で、また笑いが起こりました。
それ以来、わが家ではお米を研ぐたびに、この日の出来事を思い出してしまいます。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














