「パパ、車の中まで会社モードだったね」家族でドライブスルー。思わず仕事の口ぐせが出た私に、店員さんが返した一言
会社の口ぐせを連れて帰った夜
その日、20代の私は会社で一日じゅう頭を下げていました。
仕事中は何度も同じようなあいさつを繰り返し、夕方にはのどが少しかれていたほどです。
帰りの車の中でも、頭に浮かんでいたのは明日の打ち合わせのことでした。
家に帰ると、妻が台所から顔を出しました。
「おかえり。今日はもう作る元気ないなあ。何か買いに行かない?」
「いいね。ドライブスルーにしようか」
幼稚園から帰っていた息子は、出かけると聞いただけで大喜びです。
私は上着を着たまま運転席に座り、助手席に妻、うしろのチャイルドシートに息子を乗せて、近くの店へ向かいました。
注文用のマイクの前で窓を開け、3人ぶんの夕飯を注文します。
言い終えると、スピーカーから女性店員のはきはきした声が返ってきました。
「ありがとうございます。お車を前へどうぞ」
その瞬間、私は反射的に返しました。
「お疲れ様です!」
自分でも驚くほど、仕事中そのままの声でした。
言った直後、「あっ」と気づいたものの、もう遅い。私は窓を開けたまま固まりました。
受け取り口で返ってきた一言
車の中が一瞬、静かになりました。
すると助手席の妻が、笑いをこらえながら私を見ました。
「パパ、車の中まで会社モードだったね」
「いや……今のは、つい」
うしろからは、すぐに息子の声が飛んできます。
「パパのまね!おつかれさまです!」
「やめてくれ…」
耳が熱くなるのを感じながら、私は車を受け取り口へ進めました。
窓の向こうには、20代くらいの女性店員が立っていました。紙袋を持ちながら、少し笑いをこらえているように見えます。
私は気まずさをごまかすように、小さく頭を下げました。
すると店員さんは笑顔で紙袋を差し出し、こう言ったのです。
「本日も、お疲れ様でした」
「……ありがとうございます」
今度はさっきとは正反対の、小さな声しか出ませんでした。
受け取り口を離れ、駐車場のすみに車をとめると、妻がとうとう声をあげて笑い出しました。息子もつられて笑い、最後には私もハンドルに額をつけて笑っていました。
今では、私が仕事で疲れて帰ってくると、息子が玄関で待ちかまえて言います。
「お車を前へどうぞ」
あの夜の失敗は、すっかりわが家の定番ネタになっています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














