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2026.10.15(Thu)

「す、すみません!大変失礼しました!」初めての取引先訪問で名刺交換をした私。だが、課長の一言で気づいた大失敗

「す、すみません!大変失礼しました!」初めての取引先訪問で名刺交換をした私。だが、課長の一言で気づいた大失敗

初めての取引先訪問で緊張する私

入社して初めて、取引先へあいさつに行った日のことです。

昼過ぎ、私は上司の課長と二人で、先方の会社を訪れました。

案内された応接室には、先方の部長と、入社したばかりらしい新人の男性が待っていました。

実は、ここへ来るまでの間、私は課長から名刺交換の手順を何度も教わっていました。

名刺は両手で受け取る。相手の名前と肩書きをきちんと確認する。

失礼があってはいけないと思うほど緊張して、頭の中では教わった手順を何度もくり返していました。

やがて、課長と先方の部長があいさつを終えると、課長が私たちに声をかけました。

「じゃあ、二人も名刺交換して」

相手の新人が、少しぎこちない動きで名刺を差し出してきました。

その手も緊張しているように見え、私だけではないのだと少し安心しました。

「頂戴します」

私は名刺を両手で受け取り、書かれている名前と肩書きをじっと確認しました。

間違えずに覚えなくては。そんなことばかり考えていたのです。

そして、今度はこちらが渡す番だと思い、手に持っていた名刺を相手に差し出しました。

「申し遅れました。よろしくお願いいたします」

そのときの私は、自分が何をしているのか、まったく気づいていませんでした。

「同姓同名なんて、本当にあるんですね」

相手の新人は、私が差し出した名刺を丁寧に受け取りました。

ところが、名刺に目を落としたまま、なぜか動きません。

「あれ……?これ、私と同じ名前です」

不思議そうに名刺を見つめたあと、ぱっと顔を上げました。

「同姓同名なんて、本当にあるんですね」

思いがけない言葉に、私は戸惑いました。

「えっ……?」

何のことだろうと考えていた、その瞬間です。

隣にいた課長と先方の部長が、そろって吹き出しました。

課長は口元を押さえて横を向き、先方の部長も肩を震わせています。

私は何がおかしいのか分からず、ますます混乱しました。

すると課長が、笑いをこらえながら声をかけてきました。

「……君、ちょっと自分の名刺入れを見てごらん」

言われるままに手元を見ると、名刺入れのふたは閉じたままです。

「あっ……!」

そこでようやく、すべてがつながりました。

私は自分の名刺を渡したつもりで、たった今受け取った相手の名刺を、そのまま返してしまっていたのです。

「す、すみません!大変失礼しました!」

慌てて自分の名刺を取り出し、改めて差し出しました。

相手の新人もようやく間違いに気づいたようで、みるみる顔が赤くなっていきます。

私も恥ずかしくて、まともに顔を上げられませんでした。

ところが、そんな私たちの様子に上司二人はまた笑い出し、とうとう私たちまで笑ってしまいました。

忘れられない名刺交換がつないだ縁

それまで緊張感のあった応接室でしたが、この出来事ですっかり空気が和らぎました。

そのあとの打ち合わせも、驚くほど話が弾んだことを覚えています。

あの日以来、私と相手の新人は、顔を合わせるたびに名刺交換の失敗を思い出して、笑ってしまうようになりました。

今では、お互いに気軽に相談し合える仕事仲間です。

先日、久しぶりに顔を合わせたときも、彼は名刺入れを開けながら、いたずらっぽく笑いました。

「まず、お互い自分の名刺か確かめましょうか」

「もう間違えませんよ!」

そう返しながら、私はまた笑ってしまいました。

初めての取引先訪問では、絶対に失敗したくないと思っていました。

まさか、その失敗が今でも笑い合える思い出になるとは、あのときは想像もしていませんでした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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