「3ページ目に表がないんです」会議中、資料を真剣に見つめる同期。だが、部長も思わず笑ってしまった勘違い
会議中、資料を真剣に見つめる同期
私は会社で事務の仕事をしています。
ある朝、週に一度の部の会議がありました。
長いテーブルの奥には部長が座り、その両側に私を含む社員8人が並んでいます。
私の隣に座っていたのは、同じ年に入社した同期でした。
全員がそろったところで、部長が資料を手に取りました。
「じゃあ、資料の3ページ目、見てください」
会議室に、紙をめくる音がいっせいに響きます。
隣の同期も資料をめくると、両手でページを押さえ、じっと読み始めました。
ところが、部長が説明を続けているあいだも、同期はほとんど顔を上げません。
ときどき首をかしげたり、ペンの先で何かを確認したりしています。
同期は普段から、熱心に資料を読み込むタイプです。
「今日も真剣だなあ」
私はそんな横顔を見て感心していました。
「ここの数字の動きは、よく確認しておいてください」
部長の言葉にも、同期は資料から目を離しません。
5分ほどたつころには、眉間にしわまで寄せていました。
よほど難しいところがあるのだろうか。そう思って、私も自分の資料を見直していました。
同期だけが持っていた水色の資料
ところが、ふと隣の手元に目をやった私は、あることに気づきました。
私たちの資料は白い表紙なのに、同期が開いているものだけ、うすい水色だったのです。
「あれ…?」
思わず二度見しました。
同期はそんな私の視線にも気づかず、相変わらず難しい顔でページを見つめています。
ちょうどそのとき、部長が同期のほうを向きました。
「どうですか?何か気になるところはありますか?」
同期は顔を上げると、困ったように答えました。
「あの……すみません。さっきから数字を探してるんですけど、見つからなくて……」
「えっ?3ページ目の表ですよ」
「それが…3ページ目に表がないんです」
部長が不思議そうな顔をしました。
私も気になって、同期の資料をもう一度のぞき込みました。
そして、小声で声をかけました。
「ねえ、それ……表紙の色が違わない?」
「え?」
同期は慌てて周りの資料を見渡すと、自分の資料の表紙を確認しました。
次の瞬間、目を丸くしました。
「あっ!これ、昨日の打ち合わせの資料だ!」
その声は部長にも聞こえたようです。
「えっ、昨日の?」
「すみません!資料、間違えて持ってきちゃいました……」
同期は顔を真っ赤にして、申し訳なさそうに頭を下げました。
なんと、同期は昨日の別の打ち合わせの資料を、今日の会議資料だと思い込んで読んでいたのです。
どれだけ真剣にページを見ても、部長が説明している数字が見つかるはずはありません。
部長は一瞬きょとんとしたあと、思わず笑い出しました。
「あはは!そりゃ分からないよ!」
その言葉に、周りの社員たちからも笑いがこぼれました。
同期も恥ずかしそうに笑いながら、頭をかいています。
「いや、ずっと話が合わないなって思ってたんですけど……」
その真剣な顔を思い出した私は、もう笑いをこらえられませんでした。
私は自分の資料を同期とのあいだに置き、一緒に見られるようにしました。
それ以来、うちの部では会議が始まると、部長が冗談交じりにこう言うようになりました。
「みんな、今日の資料で合ってる?」
そのたびに同期は、少し照れくさそうに笑っています。
あの日、誰よりも真剣に間違った資料を読んでいた同期の姿は、今でも忘れられません。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














