「今から制限するんですか?」コンビニの購入制限に不安を漏らした客。だが、店員の対応に救われた瞬間
発売30分前にできていた行列
その日、私が近所のコンビニに着いたのは午前9時半ごろでした。
店は普段どおり営業していましたが、10時から人気キャラクターのくじが発売される予定で、入口の脇にはすでに十数人ほどの列ができています。
私も最後尾に並ぶと、すぐ後ろに小学生くらいの男の子と母親が並びました。
男の子は小さな財布を両手で握っています。
「何回引いていい?」
「今日は1回にしようか」
「うん。くじ残るかな」
男の子はそう言いながら、前に続く列を心配そうに見ていました。
そのころには、私たちの後ろにも次々と人が並び始めています。
入口付近にいた店員も列の長さが気になったのか、人数を数えると、いったん店内へ戻っていきました。
「できるだけ多く引きたい」
発売時刻が近づくと、店員と店長が入口の前へ出てきました。
そのとき、先頭に並んでいた男性が店員に声をかけます。
「これ、回数制限はないんですよね。できるだけ多く引きたいんですけど」
店員は少し困った様子で店長のほうを見ました。
店長は列の後ろまで目を向けてから、男性に答えます。
「申し訳ありません。今日は想定より多くのお客様にお並びいただいていますので、お一人様5回までとさせてください」
男性は少し驚いたようでした。
「今から制限するんですか?もっと事前に案内すべきでは?」
「はい。できるだけ多くのお客様に購入していただきたいので、ご協力をお願いします」
店長はそう説明すると、購入制限を書いた案内を入口付近に掲示しました。
男性はしばらく黙っていましたが、やがて小さくうなずきます。
「分かりました。じゃあ5回で」
店長は「ありがとうございます」と頭を下げました。
「まだあるよ」
10時になると、くじの販売が始まりました。
先頭の男性が5回分を購入し、店員が当選した景品を一つずつ確認して渡していきます。
男性が店を出ると、列は少しずつ前へ進み始めました。
私の後ろにいた男の子は、店内に残っているくじを気にしているようで、何度も前をのぞき込んでいます。
「まだある?」
母親が店内を見て答えました。
「あるよ。大丈夫そうだね」
男の子はほっとしたように笑い、財布を握り直しました。
しばらくして男の子の番になります。
「1回お願いします」
そう言って自分の財布からお金を出し、くじを1枚引きました。
店員が結果を確認すると、景品を男の子へ手渡します。
「ありがとうございます」
男の子は小さな箱を大事そうに抱え、母親と一緒に店を出ていきました。
もし購入制限がなければ、後ろまでくじが残っていたかは分かりません。
その場の状況を見て店側が決めた「5回まで」というルールに、並んでいた多くの人が少し安心したように見えた朝でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














