「よかったら、どうぞ」と席を立った直後…別の人が座った電車で、私と女性が顔を見合わせた理由
席を立った直後、別の人が座った
夕方の電車は混んでいましたが、その日は運よく座ることができました。優先席ではない、窓側の席です。
いくつか駅を過ぎたころ、杖をついた年配の女性が、付き添いの方と一緒に乗ってきました。
二人は私の近くまで来ましたが、空いている席はありません。
女性はしっかり立っていましたが、電車が揺れるたびに杖を握り直しています。それを見て、私は席を立ちました。
「よかったら、どうぞ」
女性は少し驚いたようにこちらを見て、「ありがとうございます」と頭を下げました。
ところが、女性が席へ動こうとしたそのときでした。
近くに立っていた別の人が、空いた席にすっと座ったのです。
あまりに自然な動きだったので、私は一瞬、何が起きたのか分かりませんでした。その人は手にしていた紙のパックを開け、そのまま食べ始めました。
私も、席を譲られた女性も、その場に立ったままです。
顔を見合わせて、思わず苦笑い
私はどうしたものかと思いながら、つり革につかまり直しました。
せっかく席を譲ったのに、結果として立っている人が一人増えただけです。
すると隣に立っていた女性と目が合いました。
女性は少し困ったような顔をしたあと、小さく笑いました。
「こういうこともあるんですね」
その言葉を聞いて、私も思わず笑ってしまいました。
付き添いの方も苦笑いしています。目の前では、先ほど座った人がそのまま食事を続けていました。
もちろん、本当は女性に座ってもらいたかったです。それでも、その場で相手を問い詰めるほどのことなのか迷い、結局、私たちは何も言いませんでした。
そのまま数駅過ぎ、女性たちが降りる駅になりました。
降りる前、女性はもう一度こちらを見て、「ありがとうございました」と言ってくれました。
私は「いえ、結局座ってもらえなくて」と返すと、女性はまた少し笑いました。
席を譲ったつもりが、二人で並んで立つことになるとは思ってもいませんでした。
今でも電車で席を譲るとき、ときどきあの日のことを思い出します。少し驚いた出来事でしたが、最後に女性と顔を見合わせて笑ったことまで含めて、妙に記憶に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














