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2026.10.25(Sun)

「混んでる時間に持ち込むなよ」ベビーカーの母親を怒鳴った男性。だが、周囲の乗客の行動に口を閉じた瞬間

「混んでる時間に持ち込むなよ」ベビーカーの母親を怒鳴った男性。だが、周囲の乗客の行動に口を閉じた瞬間

混雑した車内に響いた怒鳴り声

金曜日の夕方、仕事帰りの電車は満員に近い状態でした。

僕はドアの近くに立ち、足元に鞄を挟みながら、揺れる車内でなんとか踏ん張っていました。

途中の駅で、ベビーカーを押したお母さんが乗ってきました。中では赤ちゃんがすやすやと眠っています。

お母さんは周囲に気を遣っているのか、ドア近くの壁際でベビーカーを引き寄せ、小さく身を縮めていました。

そのとき、斜め前に立っていた50代くらいの男性が、お母さんのほうを振り返りました。

「おい、混んでる時間に持ち込むなよ」

突然の大きな声に、お母さんはびくっと肩を揺らしました。

「すみません…」

ところが、男性はそれでも収まりません。

「聞こえてんのか。混んでる時間に持ち込むなって言ってるんだよ!」

2度目の怒鳴り声に驚いたのか、眠っていた赤ちゃんまで目を覚まし、ぐずり始めてしまいました。

「すみません。本当にすみません…」

お母さんは赤ちゃんを気にしながら、何度も頭を下げていました。

周囲の乗客も気まずそうに視線をそらしています。僕も最初は何も言えず、ただその様子を見ていました。

でも、ベビーカーで電車に乗っただけで、こんなふうに謝り続けなければならないのでしょうか。

誰かが動くと、周りも少しずつ動き始めた

僕は足元の鞄を持ち上げ、男性とお母さんのほうに顔を向けました。

「ベビーカーは乗っていいんですよ。僕、もう少し詰めますね」

できるだけ落ち着いた声でそう伝え、車両の奥へ少し体を寄せました。

すると、後ろにいたスーツ姿の男性も体を横向きにしてくれました。

その隣の女子高生も、背負っていたリュックを前に抱え直します。

それを見た周囲の人たちも、無理のない範囲で少しずつ立ち位置を変えてくれました。

一人ひとりが動いたのは、ほんのわずかです。

それでも、ドアの脇にはベビーカーを寄せられるだけの余裕ができました。

近くにいた年配の女性が、お母さんに声をかけます。

「ほら、こっち。少し空いたから、こっちにいらっしゃい」

「あ……ありがとうございます」

お母さんがベビーカーを寄せると、女性は優しく続けました。

「あんなふうに2度も言われたら、びっくりするわよね。でも、あなたが悪いわけじゃないからね」

その言葉を聞いたお母さんは、少しほっとしたような表情を浮かべました。

一方、怒鳴っていた男性は何か言いかけたものの、周囲の乗客を見回すと口を閉じました。

その後は窓のほうを向いたまま、何も言いませんでした。

次の駅に着くと、男性は誰とも目を合わせずに降りていきました。

ドアが閉まったあと、お母さんが僕たちに向かって小さく頭を下げました。

「本当に助かりました。ありがとうございます」

すると、年配の女性がベビーカーをのぞいて笑いました。

「いいのよ。あら、赤ちゃん、また寝ちゃったわね」

その言葉に、近くにいた乗客たちの表情も少しだけ和らぎました。

僕も最初は怖くて、なかなか声を出せませんでした。でも、一人が少し動いただけで、周囲の人たちも自然と協力してくれたのです。

帰り道、あのとき思い切って声をかけてよかったと、何度も思いました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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