「私のじゃありません」電車で突然イヤホンを抜かれた私。2度否定しても疑う女性の前で、端の席から聞こえた声
突然イヤホンを抜かれた電車の中
平日の昼下がり、外回りを終えた私は、一人で私鉄の電車に乗っていました。
向かい合わせの座席の窓側に腰を下ろし、音楽プレーヤーにつないだイヤホンで好きな曲を聴きながら、窓の外を眺めていました。
しばらくすると、車内のどこかで携帯電話の着信音が鳴り始めました。
曲の合間にも聞こえるほどの音でしたが、誰も電話に出ません。
気づけば1分近く経ち、ほかの乗客も不思議そうに周囲を見回していました。
そのときです。
突然、耳元をぐっと引っ張られました。
片耳のイヤホンが抜け、驚いて通路側を見ると、40代くらいの女性が立っていました。
私の耳から抜いたイヤホンを手に握っています。
「電話、鳴ってるでしょ。出なさいよ」
「えっ…私のじゃありません」
「じゃあ誰のよ。ずっと鳴ってるじゃない」
「私のじゃありません。かばんの中にも、鳴ってるものは入ってないんです」
突然イヤホンを抜かれたことに驚き、声が震えてしまいました。
それでも女性は納得していない様子で、私のかばんをじっと見下ろしています。
イヤホンをしている私が、電話に気づいていないと思ったのでしょうか。
着信音はまだ車両の奥から聞こえていましたが、女性は私を疑ったままでした。
車両の端から聞こえた持ち主の声
すると、向かいの席に座っていた年配の男性が、少し身を乗り出して声をかけました。
「あの、その音、向こうの端から聞こえますよ。ここじゃないと思いますけど」
女性が振り向いた、ちょうどそのときでした。
車両の端に座っていた若い男性が、慌てた様子でかばんの中を探り始めたのです。
そして、画面の光っている携帯電話を取り出しました。
「あっ、すみません、私のです!全然気づかなくて……」
若い男性は周囲に頭を下げ、急いで着信音を止めました。
ようやく車内が静かになると、女性は手元のイヤホンを見下ろしました。
先ほどまでの強い口調が嘘のように、声が小さくなります。
「……ごめんなさい。勘違いしたみたい」
女性はイヤホンを両手で差し出し、軽く頭を下げると、そのまま隣の車両へ移っていきました。
「災難でしたね。びっくりしたでしょう」
向かいの男性にそう声をかけられ、私はようやく息をつきました。
「はい……本当に助かりました。ありがとうございます」
職場へ戻ると、同僚が私の顔を見て心配そうに尋ねてきました。
「どうしたの?顔色悪いよ」
電車であったことを話すと、同僚は驚いて目を丸くしました。
「えっ、勝手にイヤホン抜かれたの?」
「そうなの。『私のじゃありません』って、2回も言ったんだけどね……」
「それでも信じてもらえなかったの?」
「うん。本当の持ち主が名乗り出て、やっと分かってくれたの」
何もしていないのに突然疑われ、耳からイヤホンまで抜かれたことは、今思い出しても怖い出来事です。
あのとき、向かいの男性が落ち着いて声をかけてくれたことが、何よりありがたく感じられました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














