「うちの娘なんて、注意されてばかりなのに」息子が褒められて嫌味を言われた私。だが、監督から聞いた練習後の姿
ほめられる息子と、練習後のひと言
息子が小学3年生で、地域のドッジボールチームに入っていたころの話です。
50代だった私は、当番の日には体育館の隅で、練習が終わるまで子どもたちを見守っていました。
監督は、息子のプレーをよくほめてくれました。親としてはうれしかったのですが、息子ばかりがほめられていると、ほかの保護者はどう感じるだろう。
そんなことも気になっていました。
ある日の練習後、私がボールを袋に片づけていると、4年生の娘さんがいるお母さんが横を通りかかりました。
「いいわよね、息子さんは。うちの娘なんて、注意されてばかりなのに」
軽い口調でしたが、こちらを見ようとはしません。
何と返したらいいか分からずにいると、数歩進んだところで振り返りました。
「でも、もともと運動神経がよかっただけよね」
「そうですね…」
私は曖昧に答えることしかできませんでした。息子をほめてもらうことまで、悪いことのように感じてしまいました。
夜になっても言葉が引っかかり、監督に連絡しました。昼間のことを伝えると、監督は静かに話を聞いてくれました。
監督から聞いた、知らなかった努力
「息子さんがほめられていることで、気にしている方がいるみたいで……」
「そうでしたか。息子さん、練習が終わったあとにも残って、壁当てをしているんですよ」
「えっ、そうなんですか。家では聞いたことがありませんでした」
「それに、こちらが言ったことをよく聞いて練習しています。上手になったのは、そういう積み重ねがあるからだと思います」
監督は続けて、娘さんのことも話してくれました。
「娘さんにも、もっと伸びてほしいから声をかけています。本人にもそう伝えているんです」
監督がどちらの子にも目を向けていると分かり、少し気持ちが落ち着きました。
次にそのお母さんと会ったとき、私たちは並んで靴を履き替えていました。
責めるような言い方はしたくありませんでしたが、監督から聞いたことは伝えようと思いました。
「この前、監督に聞いてみたんです。うちの子、練習のあとも壁当てしてるそうで。私も知らなかったんです」
「……そうなんだ」
お母さんは手元に目を落とし、それ以上は何も言いませんでした。
次の練習で聞いた壁当ての音
次の練習の日、いつもより早く体育館に着くと、壁にボールが当たる音がしました。投げていたのは、あの娘さんでした。
受け損ねたボールを追いかけていると、あとから来た監督が声をかけました。
「いい音がしてるね。もう少し腰を落としてみようか」
その姿を見ながら、ほめることも注意することも、子どもをきちんと見ているからこそなのかもしれないと思いました。
娘さんが早く来ていた理由は分かりません。でも、監督の声を聞いて、私は少しほっとしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














