「これ、去年も着てたよね?」子どもの上着をつまんだママ友。数日後、商業施設で偶然見かけた買い物かごの中身
お迎えのロッカーの前で言われた一言
夕方、子どもを迎えに行ったときのことです。
ロッカーの前で子どもの荷物をまとめていると、同じクラスのママ友が隣に立ちました。
私が畳んでいた子どもの上着を見るなり、指先で袖口をつまみます。
「これ、去年も着てたよね?」
「はい。まだ着られますし」
「そうなんだ。うちは新作しか買わないから、去年のものは残ってないんだよね」
私は少し戸惑いながらも、「結構、買い替えるんですね」と返しました。
するとママ友は、さらに話を続けます。
「やっぱり作りが違うのよ。うちは新作しか買わないって、実家にも言ってるくらい」
まだ十分に着られる上着なのに、古いものを着せていると言われたような気がしました。近くでは別のママが、何も言わずに靴箱の扉を閉めていました。
私は上着を袋にしまい、子どもの手を引いて外に出ました。
門を出ると、先ほどのママが同じ方向から追いついてきました。
「さっき、何か言われてたでしょ」
「うちは新作しか買わないって。二度も言われちゃって…」
「聞こえたよ。気にしなくていいからね」
そう言ってもらえても、勝手に上着の袖を触られたことが、ずっと引っかかっていました。
子ども靴のワゴンで再会したママ友
数日後、私は子どもの長靴を買うため、隣の街の大きな商業施設へ行きました。
通路には子ども靴を積んだワゴンが三台並んでいます。
手書きの札にはサイズと、三桁の値段が書かれていました。
長靴がないか見ていると、ワゴンの向こうに見覚えのある顔がありました。先日のママ友です。
手にした買い物かごには、ワゴンの子ども靴が三足、四足と重なり、山盛りになっていました。いちばん上には、丸まったレシートものっています。
目が合うと、ママ友は一瞬動きを止め、早口で言いました。
「安いから、普段履き用にね」
「いいですよね。子どもって、すぐ大きくなりますもんね」
嫌みを言うつもりはなく、本当にそう思って答えました。するとママ友は何か言いかけて、口を閉じました。
そのとき、反対側で靴を選んでいた若いお母さんが声をかけてきました。
「ここのサイズ、来月にはなくなっちゃうんですよ」
「そうなんですね。じゃあ、私も今のうちに」
私は長靴を一足、かごに入れました。
ママ友はレシートをそのままに、会計の列の後ろへ並びました。列が進んでも、かごを胸の前に抱えたまま、床のほうへ視線を落としていました。
それから、持ち物の話はなくなった
翌朝、門の前で会ったママ友は、私の上着にも荷物にも目を向けませんでした。
「今日、午後から降るみたいだよ」
「長靴、昨日買えたので助かりました」
袋から長靴を少し見せると、ママ友は小さくうなずき、教室のほうへ歩いていきました。
それ以来、持ち物について何か言われることはなくなりました。
門の前では、いつもどおり誰かの運動会の話が始まっています。私も、あの日の買い物のことをわざわざ持ち出すことはありませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














