「先輩、今度ドライブに行きましょう」距離感が近い配属数日の新人。だが、相談した先輩が新人に伝えたこと
休憩室で、連絡先を求められた
配属されて数日の新人と、休憩室で向かい合わせになったときのことです。
まだ挨拶くらいしか交わしていない相手でしたが、席に着くなり距離を詰めるように話しかけてきました。
給料や手当についても、言い方を変えながら三度ほど聞かれ、私は少し戸惑っていました。
すると突然、新人が明るい調子で言いました。
「先輩、今度ドライブに行きましょう」
「いや、休みは家のこともあるから」
やんわり断ったつもりでしたが、新人は気にしていない様子でした。
「じゃあ、連絡先だけでも交換しませんか?」
「うーん、それもいいかな」
そこで話題は変わったものの、十分ほどすると、また休日の話に戻りました。
「休日って誰と過ごしてるんですか?一人なら、ドライブ行きましょうよ」
二度目まで来ると、どう返せば角が立たないのか分からなくなってしまいました。悪気があるようには見えません。ただ、こちらが断っていることに気づいていないようでした。
返事に詰まっていると、机の上の端末が短く鳴りました。
同じ休憩室の窓際で書類を見ていた年上の先輩から、社内チャットが届いていたのです。
画面には、「そのまま席を立っていい」とだけ書かれていました。
先輩が新人に伝えた、短い一言
私はそのまま先輩のところへ行き、小声で事情を話しました。
「どう断ればいいのか分からなくなってました」
先輩は小さくうなずきました。
「聞こえてたよ。あれは困るよな」
「でも、悪気はなさそうなんです」
「うん。たぶん気づいてないんだろうな」
休憩が終わる前、先輩は新人のところへ行きました。声を張ることもなく、資料を渡すついでのような調子で声をかけます。
「さっきの話だけど、相手が断ったら、そこでやめとこう。連絡先も無理に聞かないほうがいいよ。人によって距離感は違うから」
新人は一瞬きょとんとしたあと、すぐにうなずきました。
「あ…すみません。そんなつもりじゃなかったです」
それ以上、言い訳をすることもありませんでした。
翌日から、休日や連絡先の話は出なくなりました。挨拶は以前と変わらず明るく、代わりに手順書の読み方や見積もりの直し方など、仕事のことを聞いてくるようになりました。
週明けの朝、私は先輩に礼を言いました。
「先輩、この前はありがとうございました。あれから何も言われなくなりました」
「よかった。ちゃんと伝わったなら、それでいいよ」
大ごとにするのではなく、その場で必要なことだけを伝えてくれた先輩の対応に、私はほっとしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














