「これで最後にするから」と40万円を頼んだ父。すでに60万円貸していた私に、夫が差し出した二枚の紙
「これで最後にするから」と頼む父
父にお金を貸すようになって、もう何年もたちます。
一度に数万円ずつ、頼まれるたびに断りきれず渡してきました。
貸した日付と金額は手帳の端に書き留めていて、合計すると60万円になっていました。
ある平日の夜、父から電話があり、週末に家へ来ると言われました。
当日、父は夫と私の前に座ると、少し言いにくそうに口を開きました。
「住宅の支払いが遅れてるから、少し助けてほしい」
「いくら必要なの?」
「40万円だ。これで最後にするから」
私はすぐに返事ができませんでした。すると父は、もう一度こちらを見ました。
「本当に、これで最後にする。頼む」
夫は隣で黙って聞いていました。その日は返事をせず、父が帰ってから、私は台所で手帳を開きました。
夫は60万円まで積み上がった記録を一行ずつ見て、「次は僕からも話すよ」と静かに言いました。
60万円の記録を前に、夫が伝えたこと
次の週末、父がもう一度家へ来ると、夫は手帳の写しをテーブルに置きました。
そこには、これまで貸した日付と金額が並び、いちばん下に60万円と書かれていました。
「お義父さん、責めたいわけじゃありません。でも、これ以上はお貸しできません」
父はしばらく紙を見つめてから、「それは……分かってる」と小さく答えました。
夫はその横に、もう一枚の白い紙を置きました。
「ただ、住宅の支払いもあるなら、一度、毎月入ってくるお金と出ていくお金を一緒に見てみませんか」
父は黙っていましたが、やがて夫が読み上げる項目に合わせて数字を書き始めました。
趣味の道具、知人との食事、つい頼んでしまう通信販売。書き出してみると、出ていくお金の欄は、入ってくるお金の欄よりずっと長くなっていました。
父はしばらく紙を見たあと、ため息をつきました。
「…使いすぎてたな。言われてたのに、ちゃんと見てなかった」
夫は責めることなく、「ここまで分かれば、見直せるところもありそうですね」と答えました。
翌月、最初の返済があった
父は「支払いのことは、来週自分で相談に行ってくる。60万円も毎月少しずつ返す」と言い、紙の余白に自分で毎月返す額を書き込みました。
最初の振り込みがあったのは、翌月の終わりでした。
記帳した通帳を夫に見せると、夫は小さくうなずきました。
「ちゃんと振り込んでくれたね」
「うん。次に会うとき、あの紙の続きも一緒に見よう」
夫は私の手帳を手に取り、60万円の横に、最初の返済があった日付を書き足しました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














