「札、次に回しておくよ」掃除当番の札を戻したご近所さんに、管理人さんが伝えた一言
2週続けて入っていた掃除当番の札
去年、近所の十数軒で使っているゴミ置き場の清掃当番の札が、2週続けてうちのポストに入っていたことがある。
当番の家は土曜の朝にネットを畳んで床を掃き、終わったら札を次の家へ回す決まりだった。
最初の土曜、僕がほうきで床を掃いていると、斜め向かいに住む60代くらいの男性がやってきた。前の週に当番だった人だ。
「いやあ、助かるよ」
男性は笑いながらそう言った。掃除が終わるころには、「札、次に回しておくよ」と言って持って帰った。
ところが翌週の土曜、また同じ札がうちのポストに入っていた。
少し引っかかりながらも掃除をしていると、男性がまた顔を出した。
「悪いね」
僕は思わず手を止めたが、その場では何も言えなかった。
悪びれた様子もなく笑っている男性を前に、どう返せばいいのかわからなかったのだ。
掃除を終えてから、ゴミ置き場の横にある掲示板の順番表を確認した。
うちの名前があるのは先週の欄だった。今週は別のお宅の番で、翌週は二軒先のお宅になっている。
僕は念のため、順番表を携帯で撮っておいた。
管理人さんと確認した順番表
その日の午後、ゴミ置き場のネットを直しに来た管理人さんに声をかけた。
「すみません。当番の札なんですけど、2週続けてうちに入っていたんです」
事情を話すと、管理人さんは掲示板の順番表を確認した。
「これは、順番どおりじゃないですね」
僕は男性が2週とも「助かると思って」と言っていたことや、先週は札を自分で次へ回すと言って持って帰ったことも伝えた。
管理人さんは少し考えてから、「一度、こちらからも確認しましょう」と言い、僕と一緒に男性の家へ向かった。
玄関先に出てきた男性は、僕たちを見ると少し驚いた顔をした。
「どうしたの、二人そろって」
僕は携帯に残していた順番表の写真を見せた。
「うちの当番は先週でした。今週は別のお宅になっています。うちの番が来たときは、もちろんやりますけど……」
男性は画面を見たまま黙った。
すると管理人さんが、穏やかな口調で続けた。
「当番は、この順番表どおりにお願いします。どのお宅も同じ条件ですから」
「……そうだったね」
男性はそれだけ言うと、札を受け取った。
その夕方、札は順番表どおり、翌週の当番になっている二軒先のお宅へ回されていた。
それからは札がうちに続けて入ることはなくなった。ゴミ置き場で男性と顔を合わせても、今では普通に挨拶を交わしている。
当番そのものは大した作業ではない。それでも、誰かの判断で順番を変えられるのは違う。管理人さんと一緒に確認できたことで、その後は気持ちよく当番を続けられるようになった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














