「僕から言ったほうがいいですか?」夜中に何度も鳴る車の騒音。管理会社から知らされた持ち主の反応
枕元の手帳に並んだ時刻
夜中の2時すぎ、また窓の下から甲高い音が響いてきた。アパートの駐車場の奥に止まっている、古い車の音だった。
僕は布団から手を伸ばし、枕元の手帳に時刻を書き足した。
この音が気になり始めて、もう一か月ほどになる。多い週には3度、一晩に2度鳴ることもあった。持ち主が誰なのかも分からず、僕は鳴るたびに目を覚ましていた。
寝不足が続いたため、休みの日に管理会社の窓口を訪ねた。対応してくれた40代くらいの男性担当者に、記録していた手帳を見せる。
「多い週だと、夜中に3回くらい鳴るんです。一晩に2回の日もあって…」
「そんなに鳴っているんですか」
「はい。目が覚めると、そのあと眠れなくなることもあります」
担当者は手帳の日付と時刻を順番に確認した。
「駐車場は区画ごとに契約がありますので、こちらで確認します」
「僕から持ち主に言ったほうがいいですか?」
「いえ、直接お話しするのは避けたほうがいいでしょう。こちらから伝えます」
その言葉に、僕は少しほっとした。
管理会社が持ち主に伝えたこと
三日後の夕方、階段を下りていると、あの担当者が1階の部屋を訪ねているところだった。出てきたのは、50代くらいの男性だった。
担当者は記録を確認しながら、落ち着いた声で伝えた。
「駐車場のお車ですが、夜中に何度も音が鳴っているようです。眠れずに困っている方もいます。今月中に修理か、移動をお願いします」
男性は記録に目を落とし、驚いたように顔を上げた。
「…そんなに鳴ってたんですか。部屋が反対側なので、気づきませんでした」
階段にいた僕と目が合うと、男性は小さく頭を下げた。
「すみません。迷惑をかけました」
担当者は「ご対応いただければ大丈夫です」と静かに返した。
その週末、あの車は駐車場からなくなった。その後も戻ってくることはなく、夜中に起こされることもなくなった。
隣の部屋の年配の男性も、空いた区画を見ながら言った。
「これで、夜はゆっくり眠れそうですな」
その夜、僕は久しぶりに朝まで一度も目を覚まさなかった。起きてから枕元の手帳を見ると、昨夜の欄だけが白いままだった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














