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2026.09.29(Tue)

「朝6時のピアノが少しつらくて」思い切って伝えた私。隣のお母さんが返した言葉

「朝6時のピアノが少しつらくて」思い切って伝えた私。隣のお母さんが返した言葉

朝6時、目覚ましより先に聞こえる音

社会人になって二年目の春から、私は小さなアパートで一人暮らしをしています。仕事に間に合うよう、目覚ましをかけるのは朝6時半です。

ところが、いつのころからか、それより早く目が覚める日が続くようになりました。

朝6時になると、隣の一戸建てからピアノの音が聞こえてくるのです。窓を閉めていても、一音ずつ部屋まで届きます。そして30分ほどすると、決まったように止まりました。

あと少し眠れるはずなのに、一度目が覚めるとなかなか寝つけません。

週末、実家の母と電話をしていたとき、ついその話をしました。

「最近、毎朝6時からピアノが聞こえるんだ。30分くらい」

「毎朝?それはつらいね。お隣には言ったの?」

「ううん。普段あいさつする人だし、なんとなく言いづらくて」

「でも、向こうは聞こえてるって知らないのかもしれないよ」

母の言うことは分かります。それでも、いざ顔を合わせると切り出せないままでした。

月曜の朝も6時に目が覚め、眠気が残ったまま出勤しました。会社でも何度かまぶたが重くなり、昼休みには机に伏せて少し休みました。

思い切って伝えた朝

ある朝、アパートの階段を下りると、隣の家の門の前でお母さんが落ち葉を掃いていました。

今しかないと思い、私は声をかけました。

「あの、すみません。ちょっとお話してもいいですか」

お母さんが手を止め、こちらを見ました。

「朝のピアノなんですけど、うちの部屋までけっこう聞こえていて……。まだ寝ている時間なので、少しつらくて」

お母さんは驚いたような顔をしたあと、申し訳なさそうに眉を下げました。

「そうだったんですね。ごめんなさい。娘が学校へ行く前しか弾けなくて、朝なら大丈夫だと思っていました」

「いえ、私もずっと言えなくて。急にすみません」

「いえ、教えてもらってよかったです。何か考えますね」

責めるつもりはなかったものの、嫌な顔をされたらどうしようと緊張していました。思っていたより穏やかに話が終わり、私は少し肩の力が抜けました。

翌朝、聞こえなくなったピアノ

次の週、お母さんが私の部屋を訪ねてきました。

「朝はヘッドホンで練習できるようにしました。これからは音が聞こえないようにしますね」

「ありがとうございます。わざわざすみません」

「こちらこそ、気づかなくてごめんなさいね」

翌朝6時。いつもの時間になっても、ピアノの音は聞こえてきませんでした。

出勤するとき、隣の家の窓に目をやると、娘さんがヘッドホンをつけて鍵盤に向かっていました。指は動いているのに、外は静かなままです。

数か月後の日曜の午後、久しぶりに隣からピアノの音が聞こえてきました。

今度は眠る時間でも、出勤前でもありません。私は窓を開け、最後の一音まで聞いていました。

すると隣の窓も開き、お母さんがこちらに気づきました。

「聞こえちゃいました?」

「はい。すごくきれいでした」

そう答えると、お母さんはほっとしたように笑いました。その後ろから娘さんも顔をのぞかせ、照れたようにぺこりと頭を下げました。

ずっと我慢するしかないと思っていましたが、困っていることを伝えなければ、相手にも分からないことがあります。あの朝、思い切って声をかけてよかったと思っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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