「失礼ね、レジ袋も買えないように見えるの」会計前の一言に突然怒りだした女性客。私が謝らずに返した言葉
レジでいつも尋ねていること
私は長年、ショッピングセンターの衣料品売り場で販売の仕事をしています。
レジ袋が有料になってから、会計の際には必ず袋が必要かどうかを確認するようになりました。
私にとっては、すっかり当たり前になった接客のひとつです。
ある日の午後、60代くらいの女性がレジにいらっしゃいました。
仕立てのよさそうなジャケットを着て、小ぶりの革のバッグを持った女性です。
ブラウスを1枚レジ台に置き、財布を取り出していました。
私は値札を読み取り、ブラウスをたたみながら、いつものように尋ねました。
「袋はご利用ですか?有料になりますが」
すると、女性の手がぴたりと止まりました。
「えっ?袋のお金がかかるって、わざわざ私に言うの?」
少し驚きましたが、私は落ち着いて答えました。
「はい。袋が必要かどうか、お伺いしているんです」
ところが、その返事が気に入らなかったのでしょうか。女性は突然、声を大きくしたのです。
「袋なら家に山ほどあるのよ!」
隣の売り場でスカーフを選んでいた二人連れが、驚いたようにこちらを振り返りました。
通路を歩いていた人まで足を止めています。
私は何か失礼なことを言ってしまったのかと、一瞬戸惑いました。
すると女性は、さらに声を荒らげました。
「失礼ね、レジ袋も買えないように見えるの」
怒るお客様に、私が返した言葉
その言葉を聞いて、ようやく女性が怒っている理由が分かった気がしました。
私は単に袋が必要かどうかを確認しただけなのですが、女性には、お金を払えるかどうかを確かめられたように聞こえたのかもしれません。
もちろん、そんなつもりはありません。
だからといって言い返すわけにもいかず、私は表情を変えずに、普段どおりの口調で伝えました。
「どのお客様にも同じようにお伺いしています」
女性は何か言いかけましたが、周囲の視線に気づいたのか、ふと横を見ました。
先ほどまでレジ台についていた手を引っ込め、少し黙り込んでしまいました。
私は改めて確認しました。
「それでは、袋はお付けせずにお包みしてもよろしいですか?」
「……ええ。それでいいわ」
先ほどまでの大きな声とは違い、小さな返事でした。
会計を済ませ、私はブラウスを薄紙で包んでお渡ししました。
女性は小ぶりのバッグと包みを見比べましたが、バッグには入れず、包みを小わきに抱えて足早に売り場を出ていきました。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
私はいつもどおりにお見送りしました。
常連のお客様が見せてくれたもの
女性が去ったあと、私がレジ台を拭いていると、ワンピースの棚の前にいた常連のお客様が近づいてきました。
先ほどのやり取りが聞こえていたようで、口元に手を当てながら、小さな声で言いました。
「家に山ほどある袋、今日は持ってこなかったのね」
思わず笑いそうになりましたが、なんとかこらえて答えました。
「そうみたいですね…」
すると常連のお客様は、肩にかけたバッグから折りたたんだ布の袋を取り出しました。
そして、私に見えるように軽く振りながら、笑顔でひと言。
「私はちゃんと持ってきたわよ」
その言葉に、とうとう私も笑ってしまいました。
長く接客をしていると、何気ないひと言が思いがけない受け取られ方をすることがあります。
それでも、いつもどおり冷静に対応してよかったと思いました。最後に常連のお客様と笑い合えたことで、張りつめていた気持ちも少しほぐれたのでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














