「来週の土曜、公園に集合ね」予定を勝手に組むママ友。だが、別のママの本音でグループの空気が一変
仕切り役の号令
仲良しのママ友グループには、いつも音頭を取る人がいた。みんなの予定を聞くより先に、彼女の中で行き先はもう決まっている。
「夏休みはこの施設で決まり」
「来週の土曜、公園に集合ね」
ランチの席でそう言われると、誰も「無理」とは言えない。
「予約しちゃうから、空けといてね」
「うん……大丈夫、かな」
私もずっと、曖昧に笑って合わせ続けてきた一人だった。でも、毎週のように予定を入れられると、家のことが回らない。
子どもの習い事を後回しにした日もあった。心の中の小さな引っかかりは、日に日に大きくなっていった。
私が引いた線
ある日のランチで、また彼女が次の予定を切り出した。手帳を広げ、もう日付まで押さえる勢いだ。私はカップを置いて、今日こそはと声に出した。
「その日はごめん、行けないの。先約があって」
テーブルの空気が、ふっと止まった。彼女は一瞬きょとんとして、それから言いかけた。
「え……来ないって、どういうこと?」
言葉が宙に浮いて、続きが出てこない。みんなが揃って参加するのが当たり前だと、信じて疑わなかったのだろう。
私は表情を変えずに答えた。
「行ける日はちゃんと行くよ。ただ、その日は無理なだけ」
もう人数で言ってしまったのに、と彼女は口ごもった。それでも私は、穏やかに繰り返すだけだった。
「ごめんね。今回はみんなで楽しんできて」
責めたつもりはなかった。ただ、初めて自分の都合をそのまま口にしただけだ。長いあいだ飲み込んできた一言が、思ったより静かに出ていった。
変わったランチの空気
そのとき、隣に座っていたママが、ぽつりと言った。
「正直に言うとね、私も毎回はきついなって思ってたの」
その一言で、堰が切れたようだった。
「私も。行きたい日だけ、ゆるく集まれたら嬉しいかも」
次々と本音がこぼれ、テーブルの雰囲気が一変した。
仕切り役の彼女は、味方を探すように周りを見渡したが、頷く人は一人もいない。
「そっか……じゃあ、自由参加にしよっか」
絞り出した声は、いつもの勢いをすっかり失っていた。
あの昼を境に、グループの集まりは様変わりした。行き先を一人が決めるのではなく、行ける人がふらりと集う形に落ち着いたのだ。号令をかける立場だった彼女は、いつしかみんなの輪に合わせる側になっていた。
「今度の集まり、私も参加していい?」
そう尋ねてくる彼女に、もう昔の威勢はない。無理に予定を埋めなくなった分、会えたときの会話は前より弾む。たった一度「行けない」と言えただけで、こんなに肩が軽くなるとは思わなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














