「えっ、それで3万円?」口コミを信じて薄紫の服を買った私。鏡の前で笑い出した18歳の娘が、裁縫箱を取り出したワケ
3万円の服に期待していた私
娘の進学する大学が決まり、18歳の娘がひとり暮らしを始めることになりました。
引っ越しには私もついて行く予定です。
娘の新生活が始まる日には、私も少しおしゃれをしたいと思っていました。
通販サイトで目に留まったのは、口コミの評価が高い薄紫の服。
「着るだけで5歳若く見える」という紹介文にも惹かれました。
値段は3万円。
普段なら手を出さない金額でしたが、思い切って注文しました。
数日後、届いた箱を寝室へ運び、さっそく姿見の前で試着しました。
「わあ、色は写真のままだ」
ところが、鏡を見た瞬間、笑顔が消えました。
肩は落ち、袖は指先まで隠れてます。
サイトの写真ではすっきり見えたのに、私が着ると全体がだぶだぶです。
「ええ…こんなはずじゃなかったのに」
思わず声を漏らすと、娘が寝室に顔を出しました。
笑い出した娘が持ってきたもの
娘は私を見るなり一瞬固まり、口元を押さえました。笑うのを我慢しているのが分かります。
「ちょっと、そんなに変?」
「ごめん。でも、お母さん、袖が…!」
娘はとうとうしゃがみこんで笑い出しました。私も鏡を見ると、長い袖がぶら下がっていて、反論できません。
「これ、3万円もしたんだからね。5歳若く見えるって書いてあったの」
「えっ、それで3万円?まずサイズが合ってないよ!」
自分でもおかしくなって笑っていると、娘は居間から裁縫箱を持ってきました。
「直してみようよ。丈を詰めたら変わるかも」
私が服を着たまま立ち、娘が裾と袖の長さを確認して、待ち針で印をつけてくれました。
服を脱いで床に広げると、今度は私が針を持ちます。
「待ち針、上手に使えるようになったね」
「家庭科で習ったもん。お母さんより早いかも」
娘が糸を通し、私が縫う。
そんな作業をしながら、娘の幼稚園の手さげ袋を縫った夜のことや、新しい部屋のカーテンの色の話をしました。
気がつけば夜。袖は手首まで、裾はくるぶしの上まで短くなりました。
娘が私のたんすから選んだベルトを腰に締めると、ずいぶん印象が変わりました。
「うん、今なら3万円に見えるかも」
「最初はどう見えてたのよ」
「それは聞かないで」
また2人で笑いました。
上京の日、私はその薄紫の服を着て、娘の新しい部屋のドアを開けました。
5歳若く見えたかは分かりません。でも、鏡の前で娘と笑い合った夜のことは、きっと忘れないと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














