「千円足りないじゃないか。ごまかしただろ」レジでお釣り不足を訴えた男性。だが、確認結果を聞いて黙った瞬間
列の先頭で響いた怒鳴り声
3年前の夕方、私はドラッグストアのレジに立っていました。
アルバイトで入っていた店で、レジにはお釣りが自動で出てくる機械がついていました。
仕事帰りの客が増える時間帯で、レジの前には少しずつ列ができていました。
そこへ、50代くらいの男性が300円の栄養ドリンクを1本持ってきました。男性は財布から1万円札を出します。
すぐ後ろには、買い物袋を腕にかけた年配の女性が並んでいました。
私は機械から出てきた千円札を広げ、「1、2、3……9」と声に出して数え、小銭と一緒に男性へ渡しました。
ところが男性は、受け取った札をレジ台の上で何度かめくると、眉を寄せました。
「千円足りないじゃないか。ごまかしただろ」
突然の言葉に驚きましたが、私はもう一度頭を下げました。
「申し訳ありません。念のため、レジの中を確認します」
すると男性はさらに声を大きくしました。
「俺が嘘をついたっていうのか?」
私は男性を疑ったつもりなどありません。ただ、差額があるか確認したかっただけでした。
そのやり取りの間にも列は延び、気づけば10人ほどが並んでいました。
周囲の視線が集まり、私は顔が熱くなるのを感じました。
「すぐに店長を呼びますので、少々お待ちください」
「待てばいいって話じゃないだろ。足りない千円を出してくれ」
レジを確認して分かったこと
やがて40代くらいの男性の店長が駆けつけました。
事情を聞くと、まず別の人を呼んで隣のレジを開ける対応をし、並んでいた客が会計を続けられるようにしました。
その後、店長は私のレジの現金を取り出し、確認していきました。
待っている間も男性は納得していない様子でした。
「店が千円出せば、それで済む話だろ」
確認を終えた店長は、男性のほうへ向き直りました。
「お待たせしました。レジの現金に差額はありませんでした」
男性は財布を握ったまま言い返します。
「でも、俺の手元には千円足りないんだよ」
すると、先ほど男性のすぐ後ろに並んでいた年配の女性が振り向きました。
「店員さん、ちゃんと9枚って数えてましたよ。私、後ろで聞いてました」
店長も落ち着いた声で続けました。
「レジにも差額はありません。もう一度、お手元を確認していただけますか」
男性はしばらく財布を握ったまま立っていましたが、それ以上は何も言いませんでした。そして周囲と目を合わせないまま、そのまま店を出ていきました。
店長は私を見ると、小さくうなずきました。
「最初にきちんと数えて渡してくれていたから大丈夫。気にしなくていいよ」
張りつめていたものが、ようやく少しほどけた気がしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














