私「介護があって、無理なんです」→自治会長「特別扱いはできない」と班長を押し付けられた。だが、自治会の規約を見せた結果
回覧板に挟まっていた一枚の通告
朝、回覧板を開くと、見慣れない一枚の紙が挟まっていた。
来年度の班長として、私の名前が印字されている。相談も打診も、一切なかった。
仕事を抱え、夜は親の介護で動き回り、家事まで一人でこなす毎日だ。月々の会合に出る余裕など、どこにもない。
そもそもこの班では、自治会に入っていない家も同じゴミ置き場を使っている。なのに掃除も当番も、会費を払う加入世帯だけで回していた。
未加入の家には当番も会費もなく、誰も何も言わない。負担は偏ったまま、その上に班長まで押しつけられようとしている。
その日の夕方、紙を持って自治会長の家を訪ねた。
「班長の件、私は何も聞いていません」
「昔からの流れだよ」
「順番だから、君の番なんだ」
「介護があって、無理なんです」
「みんな何かしら抱えてるよ。君だけ特別扱いはできない」
どういう手順で決まったのかと食い下がっても、昔からこうなんだ、と繰り返されるだけだった。引き受ければ、親の世話が回らなくなるのは目に見えていた。
免除規定を示してください
引き下がる気はなかった。私は次の役員会に出席を申し入れ、その場で静かに切り出した。
「免除の規定と、班長の選び方の手順を、書面で示していただけますか」
会長は言いかけて、口をつぐんだ。
「それは、その、昔からの……」
手元の書類に目を落とし、続きが出てこない。額にうっすら汗がにじんでいた。
沈黙を破ったのは、隣の席の年配の男性だった。
「うちも前に、同じことで困ったことがあってね」
その一言で、室内の空気が動いた。私は自治会の規約のコピーを配り、該当箇所を読み上げた。
「事情のある世帯は、申し出により班長を免除する。そう明記されています」
配られた紙に目を通した役員たちが、顔を見合わせる。
「これ、ちゃんと回ってなかったよな」
「事情があるなら、外すのが筋だろう」
会長は規約を握ったまま、もう反論できなかった。私の班長指名はその場で取り下げられ、今後はまず本人に事前打診してから決めると、議事録に残された。
「言ってくれてよかった」
会が終わると、男性が低い声でそう言った。会長は私を避けるように席を立ち、誰とも目を合わせずに帰っていった。書面を求めただけで、長年の流れは静かに崩れたのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














