「苦情を出してるのは下の家だけだろ」管理会社に言い返した上階の男性。だが、管理会社が伝えたもう一件の苦情
夜11時を過ぎると始まる足音
寝室の天井から、どしんどしんと足音が響き、家具を引きずるような音が続きます。時計は夜11時を回っていました。
こうした音に悩まされるようになって、もう1年ほど。ほとんど毎晩のように続いていました。
「また始まったね。今夜も眠れそうにないな」
夫も天井を見上げながらため息をつきました。
「一度、管理会社に相談してみようか」
翌朝、私は管理会社に電話をしました。
すると数日後、建物の掲示板に、夜間の生活音に気をつけるよう呼びかける紙が貼られました。
ところが、その次の夜です。
夫がまだ帰宅していない時間に、突然、玄関のドアを強くたたく音がしました。
恐る恐る少しだけドアを開けると、上の階に住む男性が険しい顔で立っていました。
「下の人だよね。掲示板の紙、お宅が言わせたんでしょ」
「夜遅くの音が、毎晩響いていて…」
私が答えると、男性は声を荒らげました。
「普通に暮らしてるだけだよ。文句を言われても困るんだけど」
怖くなり、私はそれ以上話さずにドアを閉めました。
その日以降も夜の音は続き、以前より大きく感じる日さえありました。
すぐに引っ越す余裕もなかったため、私は音がした日付と時刻、どんな音だったか、そして男性が玄関まで来た日のことをノートに記録しました。
ある程度たまったところで、その記録を管理会社へ提出しました。
「下の家だけだろ」と言った男性
しばらくして、50代くらいの管理会社の担当者が、書面の入った白い封筒を持って来ました。
私は1階の入口のホールで、担当者の少し後ろに立っていました。
ホールのすみでは、男性の隣の部屋に住む60代くらいの女性が郵便受けを開けています。
呼ばれた男性は、面倒そうな顔で階段を下りてきました。私の姿を見ると、表情がさらに険しくなります。
「またその話?自分の部屋で普通に生活してるだけだろ」
担当者は落ち着いた声で答えました。
「夜間の音について、改めて書面をお持ちしました」
すると男性は、担当者の肩越しに私を見ました。
「苦情を出してるのは下の家だけだろ」
担当者は首を横に振りました。
「いいえ。夜11時すぎの音については、下のお部屋だけでなく、お隣のお部屋からもご相談をいただいています」
その言葉に、男性の表情が止まりました。
すると郵便受けの前にいた女性もこちらを向きました。
「うちは真横ですけど、夜中の音は壁越しにかなり聞こえていますよ。下の階で大きな声を出していた夜も聞こえていました」
男性は何か言いかけましたが、そのまま口を閉じました。
担当者は白い封筒を差し出します。
「今後も同じ状況が続く場合は、契約上の対応も含めて検討することになります。夜間の生活音には十分ご注意ください」
男性は黙って封筒を受け取ると、隣の女性とは目を合わせず、そのまま階段を上がっていきました。
その夜から、夜11時すぎに響いていた大きな足音や家具を動かすような音は聞こえなくなりました。
今も私は同じ部屋で暮らしています。郵便受けの前などで男性と顔を合わせることはありますが、お互いに言葉を交わすことはありません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














