「機械で注文なんかできるか!」タッチパネルを拒んだ男性。だが、隣の女性の行動に黙った瞬間
一度も押されていない画面と、鳴った呼び鈴
今は40代の私が、以前、ファミリー向けの飲食店でアルバイトをしていたときの話です。
その店では、テーブルに置かれた小さな画面から注文してもらう仕組みになっていました。
平日の昼、70代くらいの男性が1人で来店しました。私が窓ぎわの席へ案内すると、すぐ隣のテーブルには80代くらいの女性のお客様が1人で座っていました。
「お決まりになりましたら、こちらの画面からご注文ください」
そう案内しましたが、男性は返事をせず、画面を少し向こうへ押しました。
数分後、呼び鈴が鳴りました。私がテーブルへ行くと、男性は画面を見ながら言いました。
「これ、使えないんだけど」
画面は最初の表示のままでした。
「こちらを一度押していただくと、料理の写真が出てきます」
私が説明すると、男性は顔をしかめました。
「なんで客がそんなことしなきゃいかんのだ」
声を荒らげた男性に、隣の女性が見せた画面
私が操作を説明しようと画面に手を伸ばすと、男性はテーブルを手のひらでたたきました。コップの水が揺れ、近くのお客様もこちらを振り向きます。
「機械で注文なんかできるか!」
「少々お待ちください」
私が頭を下げると、それまで隣で食事をしていた女性が男性のほうを見ました。
そして自分のテーブルの画面を少し男性側へ向け、ゆっくり操作しながら声をかけたのです。
「私も最初、分からなかったのよ。でも、ここを押したら写真が出てくるの」
女性はそう言って、画面を指で押しました。
「店員さんに教えてもらったら、できたわよ」
男性は何も言わず、女性の画面をじっと見ていました。
少しして、自分の画面にも手を伸ばします。先ほどまでの大きな声は止まっていました。
店長が来たころには、自分で画面を押していた
そこへ店長が来て、男性の席のそばに立ちました。
「ご注文、お手伝いしましょうか」
男性は画面を見たまま、小さな声で答えました。
「……いや、もういい」
そして、先ほど女性がしていたように画面を押し、自分で注文を終えました。
それからも男性は、ときどき店に来ました。
そのたびに誰かを呼ぶことはなく、自分で画面を操作して注文していました。
私が近くを通っても、特に何か言われることはありませんでした。
隣の女性は男性を責めたわけではありません。ただ「自分も最初は分からなかった」と伝えながら実際に操作して見せただけです。
その言葉だったからこそ、男性も画面に手を伸ばしやすかったのかもしれません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














