「常連なのにサービスとかないの?」ホテルのフロントでわがままを言う客。だが、ホテル側が伝えた事実とは
動かなくなったチェックインの列
去年、妻と小学生の息子と3人で旅行に出かけたときのことです。夕方のホテルのフロントは混んでいましたが、開いている窓口は1つだけでした。
先頭には50代くらいの男性がいて、その後ろには私たちを含めて4組が並んでいました。
カウンターでは、20代くらいの女性のフロント係が1人で対応しています。
男性は宿泊カードへの記入を途中で止めると、フロント係に言いました。
「もう5回は来てるんだ。スイートに替えてくれよ」
「申し訳ございません。本日、スイートは満室でございます」
「満室でも何とかできるだろ。常連なんだから、少しくらい融通きかせてくれよ」
フロント係は、「ご予約のお部屋でしたら、すぐにご案内できます」と繰り返しました。しかし男性は納得せず、次第に声も大きくなっていきます。
「常連なのにサービスとかないの?」
そう言って、男性は指でカウンターをたたきました。
画面に残っていた宿泊の記録
押し問答は25分ほど続きました。列に並んでいた年配の夫婦は何度も時計を見て、息子も私の上着のすそを引っぱります。
「ねえ、まだ?」
「うん、もう少しだと思うよ」
そう答えたころ、奥から50代くらいのマネージャーが出てきました。
フロント係の横に立ち、画面に表示された宿泊の記録を確認します。
そして男性に向かって、落ち着いた口調で言いました。
「お客様、記録を確認しましたが、当ホテルのご利用は今回が2回目でございます。前回は3年前の1泊ですね」
男性は一瞬、言葉を失ったように黙り込みました。
「スイートは本日満室ですので、ご予約いただいたお部屋をご用意しております」
マネージャーはそう伝えると、閉じていた隣の窓口へ移りました。
「大変お待たせいたしました。お待ちのお客様はこちらで承ります」
私たちを含む4組は、順に隣の窓口へ進みました。
男性の横を通ったとき、息子が私を見上げて小さな声で言います。
「2回目なんだって」
前を歩いていた若い夫婦が顔を見合わせ、少し肩を揺らしていました。男性は何も言わず、フロント係から差し出されたカードキーを受け取ると、そのままエレベーターへ向かいました。
その後、フロント係は私たちに深く頭を下げました。
「長くお待たせして、申し訳ございませんでした」
こちらもようやくチェックインを終え、待ちくたびれていた息子と一緒に部屋へ向かいました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














