「家族なんだから待ってよ」と返済を延ばした弟。20万円の腕時計を見た姉が母の前で告げた一言
「来月には返す」と言った10万円
3年前、30代後半の弟が、仕事帰りの私の部屋を訪ねてきました。
玄関先で両手を合わせ、申し訳なさそうに頭を下げます。
「10万円だけ貸して。来月には必ず返すから」
弟が私にお金を頼むのはめずらしいことでした。
少し迷いましたが、私は翌日、銀行でおろした10万円を渡しました。
ところが、約束の月を過ぎても連絡はありません。私から電話をすると、弟は言いました。
「ごめん。今月、ちょっと出費が多くて…今は無理」
半年ほどたってから、もう一度返済について聞いてみました。しかし今度は、弟の声にいら立ちがにじみます。
「そのうち返すって。家族なんだから、そんなにせかさないでよ」
これ以上言えば言い争いになりそうで、私は電話を切りました。結局、いつ返すのかという話は決まりませんでした。
その後、弟が高い服や靴を買ったり旅行へ出かけたりしていることを、いとこから聞きました。
親戚の集まりでも、旅先の話を楽しそうにしていたそうです。
それでも、母には心配をかけたくありませんでした。私は弟に10万円を貸したことを話さずにいました。
母の前で自慢した20万円の腕時計
そんな状態のまま迎えた、ある年の母の誕生日。
実家の居間で、母と私と弟の3人でテーブルを囲みました。
私が買ってきたケーキを食べていると、弟がおもむろに左の袖をまくり、腕時計を見せました。
「これ、20万円もしたんだ」
「まあ、ずいぶん高い時計ね」
母が驚くと、弟は満足そうに腕時計を眺めました。
私は少し迷いましたが、目の前の時計を見ているうちに、3年間ずっと言えなかった言葉が出ました。
「それを買えるなら、3年前に貸した10万円も、もう返せるよね?」
弟の表情が止まりました。
母も驚いた顔で、私たちを見比べます。
「えっ、お姉ちゃんからお金を借りてるの?3年も?」
弟は目をそらしました。
「いや……家族なんだし、少しくらい待ってもらってもいいだろ」
すると母は、静かに弟へ言いました。
「家族だからって、返さなくていいわけじゃないでしょう。返せるなら、ちゃんと返しなさい」
弟は何も言い返さず、さっきまで見せていた腕時計を袖で隠しました。
1週間後、私の口座には10万円が振り込まれていました。
翌年の正月に実家へ集まったとき、弟は以前のように買い物の話を自慢げにすることはありませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














