「どっちが孫に似合うか決めて」通販会社へ何度も電話した女性。だが、突然聞こえた孫の声に黙った理由
窓口じゅうを困らせた1本の電話
40代の私は以前、洋服の通信販売会社で電話対応の仕事をしていました。昼の窓口には机が並び、10人ほどのスタッフがヘッドセットをつけて対応しています。
ある日の昼すぎ、私が受けたのは70代くらいの女性からの電話でした。お孫さんへの贈り物を探しているそうで、最初は明るい声で話していました。
「この2着なんだけど、うちの孫にはどっちが似合うと思う?決めてちょうだい」
「申し訳ございません。お孫さんのお姿が分かりませんので、どちらがお似合いかはこちらでは判断できかねます」
そう伝えると、電話の向こうから大きなため息が聞こえました。
「ええ?そういうことも答えてくれないの?」
私は、色やサイズ、それぞれの服の特徴なら説明できると伝えました。
しかし、女性が聞きたいのはあくまで「どちらが孫に似合うか」という答えでした。
「あなたじゃ話にならない」
上長に代わっても、答えは変わりませんでした。
5回目の電話で聞こえてきた声
その後、女性は電話を切っては再びかけてくるようになりました。
別のスタッフが応対することもあり、そのたびに同じ質問を繰り返したそうです。
同じ週の金曜日、5回目の電話を取ったのは、再び私でした。
「今日こそ答えてもらうわよ。結局、どっちなの?」
声を聞いてすぐに、あの女性だと分かりました。
そこへ50代くらいの女性の上長が来て、画面に残っている着信履歴を確認しました。
そして、私から通話を引き継ぎました。
「お客様、今週はこれで5回目のお電話になります。どちらがお似合いになるかは、やはり私どもでは判断が難しいのですが…お孫さんご本人に伺ってみるのはいかがでしょうか」
「またそれ?だから、あなたたちに選んでほしくて」
そのとき、電話の向こうから若い女の子の声が聞こえてきました。
「おばあちゃん、だから私に聞いてって言ってるじゃん。私、ここにいるのに」
女性の声が止まりました。
少なくともそのとき、服を贈る相手のお孫さんは女性のすぐそばにいたのです。
上長は少し間を置いてから、穏やかに言いました。
「では、お孫さんとも相談して決めていただければと思います」
「……もういいわ」
それまでの勢いが嘘のような小さな声でした。そのまま通話は切れました。
上長がヘッドセットを外すと、何度か女性の電話を受けていたスタッフたちも、こちらを見ていました。
「みんな、お疲れさま」
その一言に、あちこちで苦笑いがこぼれました。
その日を境に、女性から電話がかかってくることはありませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














