「小銭で払って何が悪い」セルフレジで大量の小銭を入れた男性。だが、怒鳴っていた男性が、店員の一言で黙ったワケ
袋いっぱいの小銭で止まったセルフレジ
30代のころ、私はセルフレジを置いている飲食店でホールを担当していました。
ある日の昼過ぎ、ほかのスタッフが休憩に入り、ホールにいたのは私ひとりでした。
入口近くのセルフレジを見ると、50代くらいの男性が袋から小銭を何枚もつかみ、次々と投入口へ入れていました。
会計は2000円ほどです。
硬貨の音がしばらく続いたあと、突然、機械が止まりました。
私が急いで向かうと、男性は画面を指さしました。
「おい、止まったぞ。どうなってるんだ」
「申し訳ありません。硬貨が詰まっているようなので、確認します。少しお待ちいただけますか」
男性の後ろには、会計を待つお客様が3人並んでいました。
私は投入口付近を確認しながら、「もしお札をお持ちでしたら、そちらでお支払いいただくこともできます」と伝えました。
すると男性は、少し強い口調で言いました。
「小銭で払って何が悪い。早く確認しろ」
「分かりました。では、入れていただいた分を確認しますね」
「ちゃんと払ってるんだから、早くしてくれよ」
店内に声が響き、後ろのお客様たちも黙ったまま待っていました。
焦りながらも、私は詰まっていた硬貨を取り出していきました。
数え直して分かった、もう一つのこと
取り出した硬貨は、会計用のトレーに集めました。
このままでは金額が分からないため、男性にも確認してもらえるよう、100円玉から順番に10枚ずつ並べて数えていきます。
男性はその様子を見ながら、落ち着かない様子で言いました。
「そんなにきっちり並べなくていいだろ。早くしてくれ」
「すみません。金額を確認するためなので、もう少しだけお願いします」
一枚ずつ数え、最後の10円玉まで確認したところで、私はもう一度合計しました。
そして男性に伝えました。
「確認できました。お会計は2080円ですが、こちらは2070円です。あと10円お願いいたします」
男性は何も言わず、並べられた硬貨を見つめました。
さっきまで組んでいた腕をほどき、しばらくしてから財布を開きます。
そして10円玉を1枚、トレーに置きました。
財布の中には、千円札も見えました。
後ろに並んでいた女性が、小さな声で「10円足りなかったんだ…」とつぶやきましたが、男性は振り返りませんでした。
「ありがとうございました」
私がレシートを渡すと、男性はそれを受け取り、袋を持って早足で店を出ていきました。
自動ドアが閉まったあと、私はようやく息を吐きました。そして次のお客様に向き直ります。
「大変お待たせいたしました」
先頭のお客様は手にしていたお札を持ったまま、静かにセルフレジの前へ進みました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














